2006年4月6日(木) この当分止みそうもない空模様については、私も同感である。その上、この調子で降られては、調査もヘチマもないので、これは、またの機会に譲るとして、出直すのが得策かも、と皆と計る。皆も同感で、帰ることに一致する。 さっそく埋めてあった食糧を掘り出し、十分に包装して、ほかの荷物とまとめて背負い、雨の中を帰路 ...
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アマゾン探検記――一戦後移民の体験――連載(10)=闇の中、光る目、鰐を撃つ=1時間後、逃走計り絶命
2006年4月5日(水) しばらく行くと、かなり高い梢に鷹が一羽止まっている。「しめしめ、少々肉が固くても生(なま)なら食えるだろう」と、狙いを定めてズドンと一発。鷹はパッと飛び上がって、それから悠々と飛び去って行ってしまった。ほとんど外したことがない一発も腹がへっていると当たらない。皮肉なものだ。 明鏡止水・平常心そのもの ...
続きを読む »アマゾン探検記――一戦後移民の体験――連載(9)=毒の中喬木、水に漬かる=残らず死んだ周りの魚
2006年4月4日(火) 第四日 腹がへっていたせいか、早く目が覚めた。焚き火は大かた灰になっていて、わずかに燻っている。口をすすぎ、顔を洗ってから、昨夜オンサがいたところを見に行く。 あちこちに例の足跡があり、ところどころ引っ掻いた跡もある。足跡は直径二十センチくらいで、川岸にあったものと同じである。 フィルモが「これ ...
続きを読む »アマゾン探検記――一戦後移民の体験――連載(8)=オンサが近づいて殺気=寝撃ちの姿勢で撃鉄起こす
2006年4月1日(土) とにかくのどが乾いている。水を飲もうとイガラッペーに下りる。水は流れが止まっている。澄んでいるのに魚影がない。水辺の浅いところにオタマジャクシがウジャウジャいる。 少し変だなと思う。たいてい川の流れが止まったところには、逃げ遅れた魚などが集まっていて、バシャバシャ、ボチャンとやっている。それがしーん ...
続きを読む »アマゾン探検記――一戦後移民の体験――連載(7)=川水のカルシウムの有無=下流で牛の成長に影響
2006年3月30日(木) 続けて伐っていくと、五メートルから十メートル置きくらいに、踏み分けた小道のようなものがあり、それを横切る。アンタの通り道だとのことである。 なお左右に何カ所も下草を押し倒して何かが寝転がったような跡がある。ヴィアード(鹿)の寝床だという。二時間ほど伐ってやっと切り抜ける。そして少々高い木々が茂って ...
続きを読む »アマゾン探検記――一戦後移民の体験――連載(6)=アンタ(獏)の防御の知恵=藪の中でも水中でも
2006年3月29日(水) シッポー・ダ・アグアを何本か切って飲んだが、ひどく乾いているので、少しものどの乾きは止まらない。 そのうちにシッコが「これだ、これだ」と言いながら、スマウメイラ(カポックの木で直径二メートル以上の大木になる)の地上に出ている走り根を一メートルほど切り取った。縦にすると、ジャーッとばかり水が出る。飯 ...
続きを読む »アマゾン探検記――一戦後移民の体験――連載(5)=水筒の水のみ干して後=渋みある「水の蔓」に頼る
2006年3月28日(火) 昼は魚、夜はケイシャーダの肉を腹いっぱい詰め込んで馬鹿話をしていると、昼間干して夜小屋のなかに取り込んだケイシャーダの皮が何だか動いているような気がする。よく見ると、たくさんのダニが宿主が死んだので、そのままついていても何にもならないので、「はい、さようなら」とばかり、ぞろぞろ移動を始めていたのであ ...
続きを読む »アマゾン探検記――一戦後移民の体験――連載(4)=山豚を3枚におろす=塩して積み重ね土中に保存
2006年3月23日(木) サプカイヤという巨木があって、これに人頭大の実がつく。この殻が熟すと自然にとれて、中の胡桃(くるみ)大のもっと細長い実がバラバラと落ちる。この実が落ちない前に、アララが固い殻を鋭い嘴でかじって穴を開け、中の種実を食べる。そのため、時期になるとたくさんのアララが集まって来るので、この名(大インコの止ま ...
続きを読む »アマゾン探検記――一戦後移民の体験――連載(3)=食料調達、山七面鳥仕留める=椰子の葉ふき仮小屋建設
2006年3月22日(水) しばらく休んでから、また歩き出す。川に沿って下る。川の名はマッサランドゥーバ。イガラッペー・デ・インフェルノの一支流である。二時間ほど歩くと、川の屈曲点に水が残っていて、川幅も十五メートルくらい。屈曲点の近くに小高いところがあり、設営に適しているので、奥地に侵入する仮小屋の建設にとりかかる。 フィ ...
続きを読む »アマゾン探検記――一戦後移民の体験――連載(2)=長径25センチの亀、〃裏表〃焼く=野蛮に昼食、指脂だらけ
2006年3月21日(火) 第一日 きのう整えた用具を点検して四つに分ける。土人二人は、背負い籠にポンポンほうり込んで、鍋を逆さにかぶせて、燈油ビニール瓶一本を籠のわきにくくりつける。 我々の分は、小麦粉の空き袋の上端と下端を紐で繋いで背負ってみたが、重さが尻の上にかかって、歩きにくくて仕様がない。そこで背負い梯子をつくる ...
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