2009年7月4日付け 「デカセギ」をめぐってこの論壇で、第六回までの各氏の発言を読ませてもらった。 これまでの私の「デカセギ」に関する知識は、いろいろなメディアに報じられた非行や犯罪などに偏向したネガティブな面での知識が基底となったものであった。それが「デカセギ」は「烏合の衆」という私の発言になった。だが、これまでの各氏の ...
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日伯論談=第8回=日本発=今が試練の時=日系リーダー誕生に期待=高橋幸春
2009年6月27日付け ブラジルで暮らしたのはわずかに三年だけだったが、その間に日系三世と結婚した。 妻の祖父が戦前、一度だけ日本に帰国していたが、祖父以外に移住後、日本の土を踏んだ者は家族にも親戚にもいない。それが、入管法が改正され妻の弟、甥、いとこたちが大挙して日本にやってきた。 目標の金を貯めて帰国した者もいれば、 ...
続きを読む »日伯論談=第7回=ブラジル発=デカセギ現象の回顧と展望(下)=渡部和夫=在日ブラジル人は日伯つなぐ絆
2009年6月20日付け 日本社会はブラジルと異なり、民族や生活様式に関して高い同質性を持っている。アングロ・サクソン系の国のように、求心力が強く、少数民族を拒むような体質がある。 このような社会の特質は不変なものなのか? 在日ブラジル人との関係に変更があることを期待できるのか? それは在日ブラジル人の側の態度にもよるだろ ...
続きを読む »日伯論談=第7回=ブラジル発=デカセギ現象の回顧と展望(上)=渡部和夫=子供の教育責任は誰に
2009年6月13日付け すでに多くの専門家が、各々の経験に基づいた知見をこの欄に書いた。世界同時不況によって多くの在日ブラジル人が失業状態にあり、相当数(五~八万人)が一定期間に帰伯するだろう。 しかし、それでもかなりの者が日本に残る。長期的展望の下、定職を持ち、家を買い、子供を学校に通わせている。二宮正人CIATE理事長 ...
続きを読む »日伯論談=第6回=日本発=三山喬=危機をコミュニティーの転機に
2009年6月6日付け 年末年始、取材で何回か浜松を訪ねた。失業問題は想像以上に深刻であった。だが、この「デカセギ始まって以来の危機」の中、私はまた、ある種の希望も感じた。 日本語を学ぶ意識の広がりと、ブラジル人自らが助け合う互助グループの誕生である。必要に迫られての現象だろうが、この危機を乗り切ったとき、本当の意味で初めて ...
続きを読む »日伯論談=第5回=ブラジル発=二宮正人=日伯両国における文化交流の担い手としてのデカセギ者
2009年5月30日付け 昨年は移民百周年が両国において盛大に祝われたが、それぞれの国の現実のイメージが相手国に伝わり始めたのは、そう古いことではない。 在日ブラジル人によって、認識が変わったことは確かであるが、マスコミの報道についても、初期においては、デカセギ労働、犯罪・非行等に関するものが多く、多文化共生や教育がテーマと ...
続きを読む »日伯論談=第4回=日本発=石田博士=しっかりした在日世代も=「今の日本人の若者にあんな立派な奴はいない」
2009年5月23日付け 今年一月、東京・銀座に耳慣れないシュプレヒコールが響いた。 「Sou Brasileiro!」「使い捨てヤメロ!」 これまで自動車工場などで働き、日本経済を底辺から支えてきた在日ブラジル人ら約二百人だ。多くが世界同時不況で職を失っていた。 先導した日系二世のラップ歌手・石川ホベルトさん(36)は ...
続きを読む »日伯論談=第3回=ブラジル発=中川郷子=帰伯する子供たち=日伯で教育機関から疎外される現実
2009年5月16日付け 帰伯する子供たちが問題なくサンパウロ州の公立学校に復帰できるよう、「カエル・プロジェクト」を通して手助けしてきた。これはサンパウロ州教育局との共同プロジェクトであり、ブラジル三井物産基金の後援を受けている。 もっとも緊急の問題は言語だ。これらの子供たちは一見、二カ国語堪能に見えるが、実際には困難を抱 ...
続きを読む »日伯論談=『日伯論談』第2回=日本発=アンジェロ・イシ=デカセギは果たして「烏合の衆」なのか=在日ブラジル人の未来に寄せる期待
2009年5月9日付け ブラジルに住むみなさんはこのところ、日本に住むブラジル人(私は彼ら彼女らのことを在日ブラジル人と称し、早い段階から自分のことを「在日ブラジル人一世」と称している)について、よくも悪くも過剰な報道にさらされ、在日ブラジル人社会があたかも崩壊の一途を辿っているかのような印象を抱いているだろう。 ついにアジ ...
続きを読む »『日伯論談』第1回=ブラジル発=宮尾進=『デカセギ』の現状に思うこと=日本の美点をブラジルに
2009年4月25日付け かつてパウリスタ新聞(本紙の前身)で掲載していた「土曜論壇」が「日伯論談」という形で復活し、そのトップバッターを仰せつかったのは光栄だが、与えられたテーマは「デカセギ」についてだという。 ところが、「デカセギ」について私は部外者であるばかりでなく、批判的でもあり、担当者が期待しているであろう、「デカ ...
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