ニッケイ新聞 2011年6月4日付け 「まあ、復興には10年はかかるね」。菊地課長は唇を引き締めた。「町の復興プランを一生懸命に作っているところです」というが、津波が押し寄せた区域は国が家の新築を禁止する法令を出したので、その扱いが決まっていない。松本さんも「早く国の線引きを決めてもらわないと」と眉間にしわを寄せた。 「おと ...
続きを読む »東日本大震災=けっぱれ! 岩手=立ち上がる被災地を歩く
東日本大震災=けっぱれ! 岩手=立ち上がる被災地を歩く=第4回=真っ黒な波が押し寄せ=「酷すぎて涙も出ない」
ニッケイ新聞 2011年6月3日付け 「震災の後、僕への最初の安否照会はパラグアイからでした」。松本トミさんに連れられて市役所横の生涯教育センターに入ると、山田町2人目の岩手県人会賛助会員、教育委員会生涯学習課の菊地光明課長(こうめい、58)はそう語った。渡伯歴3回、南米の日系社会との深い絆を示す一言といえる。 実は沼崎喜一 ...
続きを読む »東日本大震災=けっぱれ! 岩手=立ち上がる被災地を歩く=第3回=2年後の式典出席したい=県人会との深い所縁もつ
ニッケイ新聞 2011年6月2日付け 山田町の古い病院の一室を借りてスーパーが仮店舗を開けた。5月10日午後3時半、松本トミさんがそこで買い物をしていたら、ラジオからなにやら聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「誰だろう・・・。あっ、千田さんだ!」。思わず心の中で叫んだ。ブラジル岩手県人会の千田曠曉会長はIBC岩手放送のラジオ ...
続きを読む »東日本大震災=けっぱれ! 岩手=立ち上がる被災地を歩く=第2回=ぎりぎりの瀬戸際で=チリ地震津波の教訓
ニッケイ新聞 2011年5月31日付け 「地震が起きたのは、ちょうど出かけようとしていた時でした。立っていられないくらいの揺れで『これは津波が来る』と直感しました」。高さ8メートルを誇る山田町の堤防から、松本トミさんの自宅までは4、500メートル。 「娘たちがすぐに車で駆けつけ、『早く!早く!』と急かされるまま、靴下片方だけ ...
続きを読む »東日本大震災=けっぱれ! 岩手=立ち上がる被災地を歩く=第1回=空襲後のような焼け野原=有得ない光景に息を呑む
ニッケイ新聞 2011年5月28日付け けっぱれ!(がんばれ)岩手、山田——。東日本大震災から2カ月余りたった5月16日、被災した東北各県の被災地の中でも最悪だった一つ、岩手県下閉伊郡(しもへいぐん)山田町(まち)を訪れると、現地で支援活動をする自衛隊によって、そう書かれた旗があちこちに翻っていた。全家屋の4分3が水を被るなど ...
続きを読む »