ニッケイ新聞 2012年5月30日付け 大浦君は、92頁に《我が人生に悔いなし》と書いているし、最終頁にも《悔いのない生き方をしてきた》とあるが、僕は彼とは反対に悔いだらけの人生だった。それについて少し書く。 ①ブラジル学校の勉強をつづけなかった。(僕の仲人の福川薩然さん〔さつねん〕は、会う度に、「正義君は、何うして勉強をつ ...
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『子供移民 大浦文雄』を読む=モジ 則近正義=第5回
ニッケイ新聞 2012年5月29日付け 大浦文雄にとって詩は活動の指針であり、生を営む羅針盤であった。従って、詩は大浦文雄から絶対に切り離すことの出来ない物である。今後も、きっと詩を綴りつづけるだろう。 高原純(ペンネーム。本名=井本惇〔あつし〕)は、大浦君の生涯の中で、最も心を開いて付き合った心友(親友ではない)の1人であ ...
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ニッケイ新聞 2012年5月26日付け 高野芳久と僕はサントス丸の同航者である。 本誌にも書いてある高野耕声の名作『井戸』と僕の『断絶』は、コロニア小説選集に一緒に掲載されている。もう1人の同航者・梅木昌之(本名、袈裟夫〔けさお〕)の『切手』も一緒に——。 同じ小説選集に、同航者3人の作品が同時掲載されているのは、恐らく唯 ...
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ニッケイ新聞 2012年5月25日付け さて18歳になり、矢張り福博村に住んでいた上村俊幸と出合う。 第2章の「2、第1期放電時代(村の文化運動時代)」「青年会入会」を読むと、青年会々長だった上村俊幸に青年会に入らないかと誘われて、大浦君は入会する。会館の外で焚き火をして、夜中の1時、2時まで話し合ったそうだ。 後、詩集『 ...
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ニッケイ新聞 2012年5月24日付け 前節に記した点意外に、準二世とは関係のない類似点もある。 第2章の「宮坂国人翁の死を悼む」の項に、《宮坂さんが、何回誘われても帰化せず、日本人として一生を終えたその気位に同感した。僕自身も、そうするつもりで生きている》と、大浦君は書いている。 京野四郎が在伯山口県人会の会長に就任した ...
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ニッケイ新聞 2012年5月23日付け モジ在住の詩人・則近正義さんが、スザノ福伯村の旧友である大浦文雄さんが出版した『農村に生きる或る準二世の軌跡』を読んだ感想を本紙に寄稿した。大浦さんの人生と自らの経歴を重ねながら、文芸を愛する戦前の準二世の心情が深く記述されており、当時のスザノ、モジの文化活動の活発さをほうふつとさせ、寄 ...
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