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2013年

第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(67)

ニッケイ新聞 2013年8月16日  臭う群集心理     地方での次の事件は、4月17日、マリリア市で同時に起きた2件の襲撃である。  内、1件の被害者は──本稿で既に登場の──同市の認識運動の中心人物、三浦勇であった。  その日、事務所で執務中、訪れた一人の若い男に撃たれ、腰部に重傷を負った。男は外に出たところを、追いかけた ...

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ブラジル文学に登場する日系人像を探る 10=中里オスカル=ジャブチ受賞『NIHONJIN』=中田みちよ(3)=暴力的な父の下で成長する子

ニッケイ新聞 2013年8月2日  第2章は、やもめになった稲畑秀雄が新しい家族をつくります。キミエが生きていたころ、もらい風呂にきていた三木村さんの娘静江と再婚しました。早い話が、農作業の人手がほしいために結婚し、結婚させるわけです。農村部では結構、こんな感じで嫁入り話が進められましたね。実際には秀雄が入り婿のような形ですが、 ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(68)

ニッケイ新聞 2013年8月17日  同日夕刻、ブラウーナの北西の小さな町ニホンランヂア(現ビラッキ)で、森兄弟が射殺された。  この事件に関しては、その兄の長男正秀から貴重な話を聴くことができた。(氏は本稿で、すでに登場している。) 「被害者の名前は森五一、森丸井。五一が弟、丸井が兄で私の父。  叔父の五一は大きなバールをやっ ...

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ブラジル文学に登場する日系人像を探る 10=中里オスカル=ジャブチ受賞『NIHONJIN』=中田みちよ=(4)=戦時下でも日本精神滋養

ニッケイ新聞 2013年8月3日  ここでは親に逆らう罰として「ヤイト」がすえられます。アハハ・・・お灸ねえ。お灸で思想的なものが変えられるなら、世の中、苦労しないんじゃないんですか。ハハハ。しかし、実際にはこうした罰を与えられた人が結構いるようです。鍼灸師からきいた話ですが、親から罰としてヤイトをすえられた痕跡が患者さんの身体 ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(69)

ニッケイ新聞 2013年8月20日 カフェランヂア方面    ビリグイ方面で、火の手が上がると、それは直ぐ、同じノロエステ線の(始発駅バウルー寄りの)カフェランヂア方面に飛び火した。  まず、7月17日、同じ日に、3件発生した。  1件はカフェランヂアの平野植民地の歯科医、今井競(きそう)に対する傷害事件である。  これについて ...

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日本移植民の原点探る=レジストロ地方入植百周年 ◇戦前編◇ (36)=排日の北米見限った輪湖=「土地のない所根張れず」

ニッケイ新聞 2013年8月31日  第一次世界大戦は日本移民導入に決定的な役割を果たした。日用品生産すら支障が生じた欧州に向けて1915年から食糧品、生活物資輸出が大幅に増え、サンパウロ市の工業地帯は活況を呈した。労働者は長時間労働を強いられ、必需品すら輸出したので物価が高騰した。  1914〜23年の間に賃金は71%しか上昇 ...

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ブラジル文学に登場する日系人像を探る 10=中里オスカル=ジャブチ受賞『NIHONJIN』=中田みちよ=(5)=移民家庭の幸せとは?

ニッケイ新聞 2013年8月6日  まあ、移民はみな多かれ少なかれ日常茶飯事的に、こんなイヤがらせを経験しています。たしなみがある人は思っていても口には出さない。左官階級や、ひどいときは乞食にまでののしられましたね。ナニ、超越すればいいわけで、そんなことで傷つく必要もない・・・それこそ、馬耳東風。作者は最大公約数的に日系社会で起 ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(70)  

  ニッケイ新聞 2013年8月21日    やはり7月17日、カフェランヂアから北東に60キロほど行った地点、ボルボレーマで、岩田篤冶が殺害された。(トクゾウと記す資料もある)置き手紙が残されており「神風迅雷特攻隊」と記されていた。一資料は襲撃者を「小野シンロウ、渡辺キュウサク」と記しているが、それ以外のことには触れていない。 ...

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ブラジル文学に登場する日系人像を探る 10=中里オスカル=ジャブチ受賞『NIHONJIN』=中田みちよ=(6)=「大和魂に反する行動」

ニッケイ新聞 2013年8月7日 【あなたはいい人で、模範的な夫であり、子どもたちもみなよい子だが、しかし、それだけでは幸せになれなかった。だから、愛する男の許に行く。  十年前に出立するはずだった人。ガイジンだったから父親が許さなかった人。部屋に戻りおいていく夫のそばに横たわった。この人は何だったのだろうか。彼女が結婚した人・ ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(71)  

  ニッケイ新聞 2013年8月22日    以上の十年史の記事は、当時のポルトガル語の新聞記事の翻訳や阿部豊の手記によって構成されている。  ところが、筆者が2012年、現地を訪れてみると、意外なことが起こった。  まず、地元の文協の斉藤修三副会長が、 「私は事件後、ここに転住して来たが、そんな大暴動があったという話は、聞いて ...

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