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2013年

日本移植民の原点探る=レジストロ地方入植百周年 ◇前史編◇ (8)=大浦兼武の後ろに桂太郎=小村外相の大反対で頓挫

ニッケイ新聞 2013年7月3日  その大浦兼武を重用したのが桂太郎(陸軍大将、1848—1913)だ。もちろん「桂植民地」は彼の貢献への顕彰として死後に命名された。  大浦との共通点はともに軍人で、国防重視志向の強い人物であることだ。桂は現在の山口県萩市に生まれた長州藩士で、毛利家の重臣の出身だ。1870(明治3)年8月ドイツ ...

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日本移植民の原点探る=レジストロ地方入植百周年 ◇前史編◇ (7)=黒幕は大浦兼武農商務相=抜刀隊出身の薩摩系重鎮

ニッケイ新聞 2013年7月2日  レジストロ地方植民前史を紐解いて改めて驚くことは、ブラジル移民史において、ここほど明治の政治経済界の重鎮が関わっているところは他にない——という点だ。   ☆   ☆  1908年に青柳名で桂首相に提出された「意見書」を見ていて気になるのは、やたらとドイツを参考にしている点だ。  例えばドイツ ...

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日本移植民の原点探る=レジストロ地方入植百周年 ◇前史編◇ (6)=人口超過と食糧保障から=最初から米作植民地ありき

ニッケイ新聞 2013年6月29日  青柳に関する記事の大半は、なぜか《有志による勉強会が開かれ、その成果が「海外植民政策に関する意見書」として1908年に青柳名で桂首相に提出された》という記述から始まる。これは、おそらく本人がペルーやフィリピンでの苦い経験を語らなかったのだろう。鈴木南樹は笠戸丸以前の草分けであり、例外的に知っ ...

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森和弘の秘められた過去=勝ち負け抗争と二世心理=(6)=拷問のあとメッタ撃ち=島野もまた〃被害者〃

ニッケイ新聞 2013年6月6日  アラサツーバ市の法医学者ロメウ・フェラス医師による島野並治の遺体検死報告には、体の各部に打撲傷を受けて黒ずんだ部位があることを指摘し、「疑問の余地なく、彼はまず、何らかの方法で打撲傷を負った。例えば手、足、棍棒などだ。水ぶくれ、黒ずみなどは明らかに生きている間に形成されたものである」(323頁 ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(26)

ニッケイ新聞 2013年6月19日  こういうこともあった。ほぼ同時期、サントス─ジュキア線ペドロ・デ・トレード駅の前のバール(簡易飲食店)で、邦人4人が一杯やっていた。内一人が不用意に「ブラジルの船が沈んだ祝いをやろう」と口を滑らした。  この会話を聞いていた人間がいて、後で警察に通報した。スパイの嫌疑をかけられ、話した当人は ...

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森和弘の秘められた過去=勝ち負け抗争と二世心理=(7)=向きを変えた愛国精神=「裏で操った奴こそが悪い」

ニッケイ新聞 2013年6月7日  「医者とは違って、社会の状況を深く理解する視線が弁護士にはある」と目覚め、モジの法科大学に通い始めた頃からスザノ市議を3期務め、その時期に地元日系社会とも接触を深め、副市長を3期(76—82年、97—00年、01—04年)も務めた。  和弘の心底には、死んだ五一から言われた「お前は立派なブラジ ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(27)=悪質な警官を翻弄

ニッケイ新聞 2013年6月20日  岸本書によると、日本人とみて迫害しようとする悪質な警官を、逆に翻弄(ほんろう)した、という話もある。  ある日の夜、サンパウロのピニェイロスのバールで、7人ほどの日本人が他の客に混じって玉突きをしたり、カフェーを飲んだりしていた。その店の前を行ったり来たりして中を睨(にら)んでいた顔の角ばっ ...

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ブラジル文学に登場する日系人像を探る 8—L・F・ヴェリッシモ『ジャパン・スケッチ』—過去と未来、同時進行する国=中田みちよ=第1回=20年前の日本を〃探検〃

ニッケイ新聞 2013年6月14日  これはルイス・フェルナンド・ヴェリッシモ(Luis Fernando Verissimo、1936年〜)のコメント文にジョアキン・ダ・フォンセッカ(Joaquim da Fonseca)が挿絵を描く5冊目のスケッチブックです。日本の名所といわれる観光地のスケッチで、偶然にも日本語教師として基 ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(28)

ニッケイ新聞 2013年6月21日  以下、再び憩の園の聞き取り調査より。 ▼男性Y「サンパウロに居ましたが、禁足されたくらいで、幸せな方でした。戦争のために苛められたことはありません。ただ、カデイア(留置場)に入れられなかったのは、近所でも、私と他2、3人でしたネ」 ▼女性A「リオに居ました。そんなに酷い目には遭わなかったです ...

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ブラジル文学に登場する日系人像を探る 8—L・F・ヴェリッシモ『ジャパン・スケッチ』—過去と未来、同時進行する国=中田みちよ=第2回=銀座は「電飾の幻想世界」

ニッケイ新聞 2013年6月15日  到着初日は休息日。翌日から公式日程になるわけですが、前夜、銀座にくりだす冒険をします。 『ホテルがルームの鍵と一緒にマップを渡してくれる。あの、確実に宿泊客がホテルへの帰り道を忘れないように(少なくても勘定はしてもらうために)。…私にはアドベンチャーの素質があると思う。方向を尋ねるなど負け犬 ...

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