ニッケイ新聞 2013年2月5日付け 『南十字星』の序に尾崎士郎は、《終戦直後の混乱の中へ、恥を忍んで阿燕女史とともに二人の子供をつれて帰ってきた彼に故郷の風はつめたく、一時は周囲から指弾の的となって、飢餓をしのぐことさへ容易ではないやうな生活を辛うじて支へてゐる彼に再起の望みはもはや完全に失われやうとしてゐた》と当時の状況を ...
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《戦後移民60周年》=聖南開拓に殉じた元代議士 山崎釼二=『南十字星は偽らず』後日談=第3回=真面目さ故に二人妻事件=正妻との選挙戦に惨敗
ニッケイ新聞 2013年2月2日付け 元飛行班長は《この広大無辺なジャングルに蟠踞する最も剽悍なムルット族、イバン族、ドスン族等の群落をしっかりとその手中に収めて、物情騒然たる周囲の情勢下にもかかわらず、終戦の最後の日まで、吾が意の如く原住民を統率するという、離れ業を立派にやってのけたのである、おそらく北ボルネオ軍政史上最も魅 ...
続きを読む »《戦後移民60周年》=聖南開拓に殉じた元代議士 山崎釼二=『南十字星は偽らず』後日談=第2回=神戸から漁船で南洋密航=「正体不明の怪人物現わる」
ニッケイ新聞 2013年2月1日付け 軍国主義が高まる時世に掉さすように社会主義者として知れ渡っていた山崎の演説会には、いつも特高警察が来て見張っていた。でも道子は、そんな彼こそ社会の矛盾を解決できる政治家だと信じて結婚した。《人なみに箱根に新婚旅行に出かけたものの、その時すでに尾行つきという、変わった人生へのスタートでした》 ...
続きを読む »《戦後移民60周年》=聖南開拓に殉じた元代議士 山崎釼二=『南十字星は偽らず』後日談=第1回=特高が手を焼く社会主義者=35歳で衆議トップ当選
ニッケイ新聞 2013年1月31日付け 波乱の生涯を送った元代議士・山崎釼二(1902—1958、静岡県)は55年前の31日、サンパウロ市のサンタクルス病院(旧日本病院)で一介の戦後移民としてひっそりと亡くなった。戦前に社会大衆党から衆議に登りつめ、大戦中にはボルネオの県知事に任命されるなど一世を風靡した人物だった。ところが、 ...
続きを読む »第2の子供移民〜その夢と現実=日伯教育矛盾の狭間で=最終回・第11回=血統より技能が〃結論〃=デカセギ28年の結果を是に
ニッケイ新聞 2013年1月24日付け 日本で数少ない日系人大学教授、武蔵大学のアンジェロ・イシさん(45、三世)が、帰伯デカセギの成功パターンとして挙げるのはコンクルソ・プブリコ(公務員採用試験)だ。 連邦、州、市それぞれに福利厚生も厚い。「うまく行っている実例をすでに何人か知っている。立派なデカセギ生活からの脱却例だ。一 ...
続きを読む »第2の子供移民〜その夢と現実=日伯教育矛盾の狭間で=第10回=同じ辛さを共有する仲間=ネット上で8百人が集い
ニッケイ新聞 2013年1月23日付け 「自分と同じような境遇で悩んでいる人たちが、ここで交流して仲良くなれれば、なんて思って軽い気持ちで作った」と古川ゆみさん(18、三世)は話す。その時は、特に深い意味や考えはなかった。 12年1月の立ち上げから徐々に登録者数が増え始め、現在は日本に滞在経験のある日系人はもとより、日本語を ...
続きを読む »第2の子供移民〜その夢と現実=日伯教育矛盾の狭間で=第9回=見た目はフツーの女の子=日本恋しさで空手道場に
ニッケイ新聞 2013年1月22日付け 「日本に帰れるなら、すぐにでも帰りたい」。そう寂しげに漏らすのは日本生まれの古川ゆみさん(18、三世)だ。 両親共にデカセギとして結婚し、日本で家庭を築いた。生まれ育った栃木県真岡市はデカセギ外国人が多い工場地帯であり、「学校には他にも日系の生徒はいて、自分が特別だなんて感じたことはな ...
続きを読む »ブラジル文学に登場する日系人像を探る 5—オ・アンドラーデの『基点』—伯学校の奇妙な授業風景=中田みちよ=第5回
ニッケイ新聞 2013年1月22日付け 地図のバナナの生産地は高原にあり、房になって金色に塗られているバナナを目にして、先生は「バナナについていいなさい」「バナナは大きいタビモン…」「ばかねえ、たべもの、タビモンじゃない」。生徒の前に立っていたから先生はつい短いつややかな髪を引っ張った。教室で恥をかかされながらマッチョは陰湿な ...
続きを読む »第2の子供移民〜その夢と現実=日伯教育矛盾の狭間で=第8回=馴染めない〃祖国〃ブラジル=「時経つほど日本恋しい」
ニッケイ新聞 2013年1月19日付け 「幸良と申します。今日はよろしくお願いします」。淀みのない日本語で挨拶をするのは幸良プリシラ香さん(23、三世)だ。10歳の時、家族とともに愛知県豊橋市に移住した。ブラジル人ばかりの工場環境で働いていた両親は、日本語をほとんど話せない。 家庭の中の会話は「全てポ語が約束だった。日本語は ...
続きを読む »ブラジル文学に登場する日系人像を探る 5—オ・アンドラーデの『基点』—伯学校の奇妙な授業風景=中田みちよ=第4回
ニッケイ新聞 2013年1月19日付け この辺はオズワルド自身が投影しているような気がします。イダリシオに土着のブラジル人としてのオズワルドの悲しみが重なっている。時々、「読む」というのは独善だナアと苦笑いします。正解など存在しない。笑わないでください。 エウフラジア先生は遅刻して学校に着いた。「やかましいわねえ、みんな」教 ...
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