「この60年間、今日のような話は一度も聞いたことがなかった」。山内明さんは証言台で、目に涙を滲ませながらそう感想を語った。「特にアドリアノ・ジョーゴ委員長の話だ。拷問や差別があっても、父母からブラジル政府への悪口は聞いたことはなかった。今日聞いた話は、現在のように敬意を持たれるまでになった日系社会が生まれるまでの、貴重な歴史の ...
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パウリスタ延長線戦後史1=子孫にとっての勝ち負け抗争=(5)=郷土史にモライス著から引用=「情報戦の時代に生きている」
ジョーゴ委員長は「日本人を残酷に扱ったことは、ブラジル人にとって語ることを憚られる歴史でもある」とのべ、戦後の勝ち負け抗争時にDOPSで不当に日本移民を拷問し、日の丸を踏まなかっただけの人までアンシェッタ島に送り込んだことを、ブラジル政府側の一機関としてツッパン公聴会で謝罪した。 昨年10月にサンパウロ州議会で行われた第1回公 ...
続きを読む »パウリスタ延長線戦後史1=子孫にとっての勝ち負け抗争=(4)=米国の排日プロパガンダ=宣戦布告前から敵性移民扱い
ツッパン公聴会でアドリアノ・ジョーゴ委員長は、戦中戦後の日本人差別が、勝ち負け抗争勃発の一因になったという考え方を公式に認めた。 「ヴァルガス独裁政権は元々親ドイツ、イタリアだったが、1942年に米国との関係を大きく修正した。米国から製鉄所建設、フェルナンド・ノローニャの空港、ナタールの空軍都市化(米国が南大西洋に展開する拠点 ...
続きを読む »パウリスタ延長線戦後史1=子孫にとっての勝ち負け抗争=(3)=臣聯は司法、行政的にシロ=戦中戦後の日本人差別とは
日本移民への行動制限の多かった戦中や終戦直後の世情や通信状況を考えれば、前年8月の終戦後に結成されたばかりの臣聯に、1月の「日の丸事件」以来わずか2、3カ月で多くの地方支部と綿密な連絡を取り合って、4月以降の数々の事件を計画することは本当に可能だったのか――。 勝ち負け抗争を徹底的に調べたフリージャーナリストの外山脩は『百年の ...
続きを読む »パウリスタ延長線戦後史1=子孫にとっての勝ち負け抗争=(2)=扇情的なモライスの著作=勝ち組子孫に大ショック残す
1946年当時の伯字紙は連日「臣道聯盟はテロ集団だ」と報じ、その悪印象が根強く残ってしまった。そのため多くの臣聯関係者がその件を心にしまい込み、きちんとした事実関係を子孫に伝えてこなかった。加えて、勝ち負け抗争という未曽有の出来事に際し、「臭いものにフタ」という日本的な態度でコロニア指導者は対処してきた。 その結果、「臣聯=愛 ...
続きを読む »パウリスタ延長線戦後史1=子孫にとっての勝ち負け抗争=(1)=失われた家族の記憶求めて=「どう理解すればいいのか?」
「ブラジル人として戦中戦後の差別的な待遇を日本人に謝りたい。肌の色はいろいろだが、人間は一種類だけだ」。5月31日午前10時からサンパウロ州ツッパン市の市議会で行われた「1946―47年の間の日本移民の死と拷問」公聴会(主催=青木カイオ市議、ツッパン文化体育協会、山内家)で、真相究明委員会サンパウロ州小委員会のアドリアノ・ジョ ...
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