2014年
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コスモポリス=1929年のサンパウロ=ギリェルメ・デ・アルメイダ=訳・中田みちよ=古川恵子=(16)=素朴な人たち――ポルトガル移民
ブラガンサ・・・長くて強くて絵画的な名称が多い。トーレ・デ・モンコルボ、ミランダ・ド・ドイロ、マセド・デ・カヴァレイロ、カラゼダ・デ・アンシオン、フレイショ・デ・エスパダ・アンシオンなどなど。 そし
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コスモポリス=1929年のサンパウロ=ギリェルメ・デ・アルメイダ=訳・中田みちよ=古川恵子=(15)=素朴な人たち――ポルトガル移民
肌を刺す朝の空気のなかを鈴がなる。 恵まれた人の住むお屋敷の門の白いエプロン姿の間を通って行く。まるで儀式のように厳かにヤギの群れが行く。ちゃいろ、しろ、ぶち。ひづめを石畳にたてながら。――ドアマッ
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県連ふるさと巡り ペルー=115年経て受け継がれる日系魂=(3)=節目の度に成長を続ける=洗練されたペルー料理に舌鼓
見学後、大ホールに招かれ歓迎昼食会。岡田フランシスコ会長は歓迎の言葉を述べ、「ペルー日系人協会は国内日系団体の中でも最大です。これからの使命は第二の団体である婦人会と共に、日系社会の後押しをすること
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県連ふるさと巡り ペルー=115年経て受け継がれる日系魂=(2)=〃噂の会館〃を初訪問=堂々たる施設に驚嘆の声
半時間ほどすると、噂のペルー日系人協会会館が見えてきた。出発前、「とにかく立派」と数人から聞いていたその会館は、数百メートル離れた大通からも認めることができ、かなりの存在感を放っていた。バスを降りた
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コスモポリス=1929年のサンパウロ=ギリェルメ・デ・アルメイダ=訳・中田みちよ=古川恵子=(14)=ゴヤのデッサン画――スペイン移民
ルッカス街。その歩道では、タマネギが切り取られたレスチアで子どもたちが遊んでいる。低い円いドアの後ろに、家の中がのぞける。白い壁にぶどうの木の画が描かれている。 テーブルの上にはレース編みのクロース
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県連ふるさと巡り ペルー=115年経て受け継がれる日系魂=(1)=南米有数の大都市リマへ=雨の降らない灰色の街
第42回となった今回の県連ふるさと巡りは、様々な古代文明が花開いた神秘の国ペルー共和国を巡る旅だった。実に20年ぶりとなった訪秘(秘=ペルー)には88人が参加し、先月末から約1週間かけ、首都リマ、バ
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コスモポリス=1929年のサンパウロ=ギリェルメ・デ・アルメイダ=訳・中田みちよ=古川恵子=(13)=ゴヤのデッサン画――スペイン移民
サンパウロ市の北西サンタローザ街《註=当時の雑穀取引地区》の午後。ローザ(ばら)の香り? いや、麻袋とタマネギのにおいだ。満腹した太鼓腹があくびをするように、穀物が麻袋の口から転げ落ちている問屋の入
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コスモポリス=1929年のサンパウロ=ギリェルメ・デ・アルメイダ=訳・中田みちよ=古川恵子=(12)=バルト海の混乱(U長調のシンフォニー)――東欧移民
ひとつの窓にひとつの扉。そこに楕円形の看板がかかっている。花壇のぽんぽんダリアのような白と赤の「郵便局」。覗いて見る。この地区さいしょのランプ――石油ランプ――に照らされて、丸坊主の明るい瞳の男が手
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コスモポリス=1929年のサンパウロ=ギリェルメ・デ・アルメイダ=訳・中田みちよ=古川恵子=(11)=バルト海の混乱(U長調のシンフォニー)――東欧移民
すべてが混乱している。 例えばエストニア《註=Esthônia》はhがあるのか…レトニア《註=Lettônia》はttが二つなのか…リトアニア《註=Lituânia》はhがつかないのか? 混乱のきわ
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コスモポリス=1929年のサンパウロ=ギリェルメ・デ・アルメイダ=訳・中田みちよ=古川恵子=(10)=ゲットーの街――ユダヤ移民
「シッー」 夜はどんな風にやってくるのだろうと、すべてが黙り、すべてが止まった。街のにぎわい。周りの空気。ユダヤ教会堂の前に止まる車のエンジンの音などすべてが。 「シッー」静かに! ユダヤ教会堂だ。