ホーム | 連載 | 2015年 (ページ 13)

2015年

『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(32)

地元日系社会の90年 バンデイランテスには野村農場の創立とほぼ時を同じくして、日本人の入植が始まった。最初は1927年、山田末吉という福島県人が100アルケーレスという広さの土地を買った。当時の農業用区画は、普通、一家族当たり10アルケーレスであった。山田は笠戸丸移民でリベイロン・プレット地方のファゼンダ・ドゥモントに配耕され、 ...

続きを読む »

『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(31)

 翌年、野村農場はカフェー55万本、収穫量6万8千俵を達成、往年の模範農場の勇姿を回復した。そこで関係者多数を招き、感謝のためのシュラスコ会を開いた。その折、再建の経緯を報告中、牛草は感極まって絶句、その様が人々に強い感銘を与えた。開戦時、農場を去ってから23年が経っていた。 以上の様な労苦が牛草を鍛え上げ、既述の(筆者が会った ...

続きを読む »

『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(30)

 すると、ある日、カンバラー警察のコルデイ署長から「クリチーバ(州警察本部)から、貴下を逮捕するよう指令がきている。至急、州外へ出るように」と伝えてきた。この逮捕令は、農場の管理人が「牛草がカンバラーに居ては、木村と連絡をとって、自分たちのすることを何かと邪魔する。クリチーバの刑務所へ送り込もう」としてやった工作である疑いが濃厚 ...

続きを読む »

在日日系社会の教育意識=エスコーラ・フジの場合=(7)=教育の先にある老後や介護=求められる教育制度改革

エスコーラ・フジで学ぶこどもたち

 外国人のする相談の内容が「年金、病院、介護」に変わってきたとき、各方面へ就職した子供世代が当たり前にいれば、日本人がボランティアをお膳立てする必要はなくなる―と冨田さんは訴える。 「でもね、学校・幼稚園の先生、保育園の保育士さんは公務員だから外国人はなれない。がっかりしちゃうでしょ」。 産業界の要請で単純労働者として入れられた ...

続きを読む »

在日日系社会の教育意識=エスコーラ・フジの場合=(6)=地方にある国際問題の現場=行政で共有されない意識

1対1のサポート教室

 「フィス」の夏休みサポート教室は午前か午後の2時間。基本的には一人の児童に一人のボランティアがつく。ボランティアは高校生が多い。コーディネーターを務める白銀真由美さんはこう話す。 「来たり来なかったり、ということもあるけれど、指導の高校生に懐いて、今日もあの人がいいって指名する子もいる。来てしまえば2時間とても集中していてすご ...

続きを読む »

『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(29)

 翌1933年、カフェー樹数は32万5、000本となっていたが、経営は創業以来の赤字から抜け出すことができないでいた。これはカフェーが生産過剰で、市況が極端に低迷していたためである。時のゼッツリオ・ヴァルガス政権は、前年、サンパウロ州に於ける新植を禁止、以後、余剰カフェーの大量廃棄・焼却に踏み切っていたが、まだ効果は出ていなかっ ...

続きを読む »

在日日系社会の教育意識=エスコーラ・フジの場合=(5)=言葉の問題が進学相談に影響=忙しい親、反抗期の子供

夏休み学習サポート教室の様子

 しかし、静岡県の富士市役所で外国籍児童へのサポートが何もないわけではない。外国人スタッフを置いて夜や土曜にも相談を受けている国際交流ラウンジ「フィス」は、外国籍児童への学習支援のほか、その父兄の懇談会や進学相談会を設けるといった活動を行っている。 この窓口は、同市の外国人増加に伴い何か対応をしなくては、という市側と、外国人支援 ...

続きを読む »

在日日系社会の教育意識=エスコーラ・フジの場合=(4)=外国籍だと義務教育の対象外=高校は入っても難しい大学

FILSの相談窓口

 フクヤマ校長は「ここをレフージオ(避難所)と思っている親もいるかもしれないが、〃学ぶ場所〃」と断言する。 現在の日本の法律では外国籍の子は義務教育の対象外となっており、また、「一条校」(学校教育法の第一条に掲げられた教育施設。外国人学校は該当しない)が提供する教育以外は義務教育と認められていない。 つまり、外国籍の子が公立小中 ...

続きを読む »

『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(28)

現在の野村農場の入り口の様子

伊藤陽三の運と不運 野村徳七は元々、海外事業に強い熱意を持っていた上、政府から働きかけを受けていたため、伊藤陽三の話に直ぐ乗ったのであろう。ただ資金が10万円では、政府が期待するほどの仕事は出来ないと見て、100万円出すことにしたのだろう。無論、伊藤個人を充分調べた上で……。 伊藤が野村を訪問したのは、まことに時宜を得ていたこと ...

続きを読む »

在日日系社会の教育意識=エスコーラ・フジの場合=(3)=帰伯が前提でない生徒も=公立校への不信感の原因は

息子たちの教育について語り合ってくれた清さん(左)と望月さん

 これに対し、「日本の小学校のほうがいいよ」と言うのが友人の望月パウロさん(三世)。 16歳で来日し、同じく日系ブラジル人女性と結婚。6歳の息子は日本の小学一年生。理由は、「ブラジル人学校は学費が高い。日本の学校は設備がしっかりしているし、いろんなことをやれる。それに学童(放課後学級)で夕方まで預かってもらえるから共働きできるし ...

続きを読む »