外国人児童の学習が順調にいかないことを残念がる松下さんの言葉に、エリザベスさんも肯きながら、「よその子はああなったから、あの学校に行けたから、うちの子もそのままにしておけば同じようになれる、と親は単純に考えてしまう。進路は人の言いなりで学校任せ。学校に電話してもすぐに通訳に替わってもらう、それでは思いが伝わらないでしょ」と同意 ...
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静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(3)=外国児童の周りに転がる難題
「こどもの文化センター」で学んでいるのは子供だけではない。 保護者会で日本の教育について知る場を作り、日本語の絵本をエリザベスさん自ら翻訳して親子で楽しめるようにするなど、父兄と子供たちが共に日本の教育に馴染んでいけるように働きかけている。 「わたしが子供のころはブラジルも厳しい時代でした。今のような自由なイメージではなかった ...
続きを読む »静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(2)=〃日本式ブラジル人学校〃というあり方
昼寝から目覚め、寝ぼけ眼で先生の足に抱き着くのは1歳のアイカちゃん。まだ言葉は片言だが、先生に促されながら自分でおやつの準備をする。 「泣いてるよ!」。慌てて先生を呼びにくるのは近所の公立小学校に通うナミエさん、2年生(日系伯ボリビア四世)。放課後は毎日、学校から直接「こどもの文化センター」に立ち寄り、宿題をしたり小さな子供た ...
続きを読む »『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(68)
気になる一事 話を進める前に、筆者には気になる一事があるので、ここで、それを片づけておく。 30年前、赤木平十さんが、馬泥棒を追っていた途次、路傍に見つけた野生の棉は、建設失敗の危機にあったトゥレス・バーラス移住地を救い、以後二度に渡って繁栄させた。平十さんの存在感は大である。しかし資料類に目を通すと、扱いが、それほどでもない。 ...
続きを読む »静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(1)=なぜ情緒障害等が多いのか?
【静岡県発】これまで、デカセギに来た日系ブラジル人の子弟は「公立校でどうにかやっていく」か、「高い学費を払ってブラジル学校に通う」という二択だった。しかし、それだけでは割り切れず、居場所を見つけられない子供の存在や、学校教育のひび割れが浮き彫りになっている昨今、不登校の増加やフリースクールの需要拡大も受け、教育の多様化を求める ...
続きを読む »『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(67)
マリオさんは、日本移民史の研究家でもある。だから、祖父の家は史跡として保存する目的もあった。筆者は、その家を訪れてみたが、当時の移民の暮しを知る上で、非常に参考になった。 外観は小さな感じだが、中に入ると広く、部屋数も多く、住宅としては申し分ない造りであった。当時の移民の暮らしを実感できた。煉瓦づくり、白壁という構造ではなく、 ...
続きを読む »『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(66)
華やかなりし時代 1940年、トゥレス・バーラス移住地のセードロ区に40アルケーレスの土地を買って入植、カフェーを植えた。栄太郎、すでに60歳を過ぎていた。やがて終戦後のカフェー景気が来た。 以後の栄太郎の暮らしぶりが面白い。市街地でも一部しか電化されていない時代だったが、自家発電をした。トラトール、カミニョンを新品で買った。英 ...
続きを読む »『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(65)
伊予の放蕩児とカフェー景気 アサイの主作物の一つであった綿は、戦後、採算が芳しくなくなった。政府の為替政策の影響で、輸入品の農薬の価格が上昇したためである。それに代わって景気が出たのが、もう一つの主作物カフェーだった。 すでに何度か触れたことであるが、カフェーは、終戦の年から1950年代にかけて、世界的に需要が上昇した。「戦争が ...
続きを読む »『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(64)
前出のアンシエッタ仲間の、その後に触れておく──。 吉川吉郎は、アサイに来てしばらくは公民学園の先生をしていた。が、サンパウロへ帰った。父親の吉川中佐もそうした。 松本勇は、谷田の製材所のそばに建物を借り、ガラナを生産した。製材所に発電機があったので、それを利用させて貰うためだった。生産はうまく行った。アサイはガラナの成りがよ ...
続きを読む »『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(63)
直訴状の内容は、ポ語文で抽象的な表現が多く判りにくい。が、要するに襲撃事件に関し、臣聯の無実を主張、警察が聯盟員に加えた虐待、拷問その他の迫害を告発、かつブロクラシア=お役所仕事=排除を訴えている。 そのブロクラシアとは事件後、警察が自分たちから取り上げた身分証明書などを返さず、外務省もそういう事情を理解してくれないため、日本 ...
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