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2017年

《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(22)=リベルダーデとの意外なつながり

やたらと立派な「アラグアイア州政庁」

 州都パウマスは南緯10度、朝からじわじわと汗をかく暑さだ。  ガイドに案内されて最初に向かったのはプラッサ・ドス・ジラソイス(ひまわり広場)。57万1千平米という南米最大の面積を誇り、「世界でも2番目」と自慢する。  パウマスの町は、計画都市の大先輩ブラジリアをモデルにする。ヒマワリ広場は三権広場に相当し、州政庁を中心に両側に ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(21)=「忘れられた地」トカンチンス

中原マリアさん

 3月19日午後の飛行機で、故郷巡り一行は、トカンチンス州都パウマスへ向かい、深夜1時過ぎにようやくホテルに到着した。  翌20日の朝食時、参加者の一人、サンパウロ州サンベルナド・ド・カンポ市の岡田塾で日本語教師をする中原マリアさん(二世)は、「田辺俊介さんの話を聞いて頭が下がる思いです。こちらが恥ずかしくなるぐらい、一生懸命工 ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(20)=地の果てが「フロンテイラ」に

左から門脇マルガリーダさん、山田康夫団長、門脇道雄さん、竹中清さん、竹中芳江さん、田辺恵子さん、田辺俊介さん(「カフェ・ド・バッチャン」で)

 門脇道雄さんはしみじみいう。「父はよく、こう言ったものです。『ロンドニアにまっすぐ来たが、それでよかった』と。昔は皆、まずサンパウロやパラナを目指した。だけど、時代はまわり巡って、今では彼らやその子孫が、ロンドニアを目指すようになった。『自分たちは最初からここを目指して正解だった』とね。まあ、自分が苦労した慰めを言っていたんで ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(19)=雨晴れて緑滴るアマゾンの広野に架る虹のさやけし

川染正春さん

 やはり国道開通で、町の産業構造が根本的に変わった。クイアバまで自家用車で2日間(バスで24時間)、そこからサンパウロ市までバスで16時間。急げば3日以内に行き来できるようになった。  だが、門脇道雄さんは単に養鶏を撤退しただけでなく、その状況を逆手にとった。「保冷倉庫を作り、冷凍ブロイラーの仲買いをやり、ネスレ社とヨーグルト製 ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(18)=郷愁で胸が張り裂けそう

門脇敏子さん

 ポルト・ヴェーリョのトレゼ・デ・セテンブロ移住地では、家長の妻が2人しか生存していない。その一人、門脇敏子さん(90、山形県山形市)にも話を聞いた。  のっけから「主人がブラジルに行くと言い出した時、私は反対した。町の生活が好きだったのよ。戦争中も山形市は空襲がなく、食べ物こそ不足したけど、割と恵まれた生活だった。両親に『神戸 ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(17)=「ゴムの花咲く心のふるさと」

「Cafe do Bachan」のスタッフの皆さんら

 3月19日、PVのホテルで朝食中、一行の斎藤修三さん(77、兵庫県)=サンパウロ州オズワルド・クルス在住=と一緒になった。21歳の時、力行会を通して1961年に渡伯した。その3年前に兄・益幸さんがすでに来ていた。  最初はパラナ州ロンドリーナ市のロレーナ植民地に入植し、アプカラナ農学校で寄宿しながら2年ほど勉強し、バストスで養 ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(16)=医者「仕事したら死にますよ」

黒田重人さんと喜与美さん(『グヮポレ移民50年史』より)

 黒田喜与美さんは、「とにかくお金がないのよ。夫にはひたすら『辛抱してくれ』と言われて、ショックを受けたわ。『コップ半分でも』と油を分けてもらったりした。最初10年間ぐらいボラッシャ(ゴム)やっていたけど利益が出ないのよ。野菜作りに切り替えたけど、フェイラ(市)に持っていっても売れない。当時のブラジル人は野菜が何だか分からなかっ ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(15)=「日本に良い思い出はない」

トレゼ・デ・セテンブロ移住地のレストラン「バッチャン」の庭に建つ「グヮポレ移民の碑」

 現地の黒田喜与美さんは普段、あまり日本語を話す機会がないように見え、まるで溜まっていたものを吐き出すかのように思い出を語り始めた。  「私は満州国鉄嶺生まれの引き揚げ者なの。父は何かの事情で一緒に引揚げられなかった。母が肺病なのに一人で5人の子供を連れて命からがら引き上げた。私たちは引き揚げ船の船底に入れられた。そこには死んだ ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(14)=「悲しいなんて生易しいもんじゃない」

黒田喜与美さん

 PV日本語学校で教師をする荻沼由季さん(29、茨城県)は、現役のJICA青年ボランティアだ。  日本でも日本語教師を生業とし、来日する留学生に語学学校で教えていた。「ベトナムで教師ボランティアを一週間する機会があった。その時、実は自分は日本語を良く分かっていないのでは、日本人として何が教えられるのかと考えさせられ、もう一度外国 ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(13)=非日系主体の日本語教師陣

左からルイザ・フェレイラさん、アルベルト・ソブラルさん、奈良橋勲さん、フェルナンダ・ラッパさん、中山美早紀さん、荻沼由季さん

 「日本祭り」後に田辺さんに呼ばれ、「ぜひ日本語教師を取材してくれ」と声をかけられた。さっそく会うと、JICAボランティア関係以外の大半が非日系だが、しっかりとした日本語で取材に答えた。  生粋のPVっ子の日本語教師フェルナンダ・ラッパさん(21)は、日本語の勉強を始めて6年目。「漫画アニメが大好きで、日本語を勉強したくなった。 ...

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