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日本移民110周年=サントス日本語学校の完全返還=ようやく訪れた「本当の終戦」

日本移民110周年=サントス日本語学校の完全返還=ようやく訪れた「本当の終戦」=(7)=多人種が共存する平和な未来を

ブラジル沖縄県人会の定例役員会で協力を要請する奥原マリオ純さん

 沖縄県人会に協力要請する以前に、奥原さんは日系社会を代表する組織、ブラジル日本文化福祉協会にもお願いしたが、断られていた。すでに当事者の大半が亡くなっており、当時を知らない世代ばかりになった今、「今さらそんなことをほじくらなくても」という声も強い。そんな流れに掉さす様に奥原さんは運動を続けている。どこか、かつての上さんを思わせ ...

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日本移民110周年=サントス日本語学校の完全返還=ようやく訪れた「本当の終戦」=(6)=動き出した歴史見直しの歯車

屋比久トヨ子さん(84、二世、『群星』第3号より)

 2000年代に入ってから、急に歴史見直しの歯車が回りだした感がある。もちろん、上さんが会長を辞めた後のサントス日本人会の幹部の働きは大きい。04年からの遠藤浩、土井紀文セルジオ、関谷忠機アルシーデス、安次富ジョージ、そして現在の橋本広瀬春江マリーゼという歴代会長だ。二世の中井貞夫氏は、この運動を進めるために市議にまでなり、政治 ...

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日本移民110周年=サントス日本語学校の完全返還=ようやく訪れた「本当の終戦」=(5)=皇太子殿下「ごくろうさまでした」

奥からキヌ子夫人、娘の小代子さん、上新さん

 戦後「負け組」になったのは主に、戦前の同胞社会指導者や企業家らだ。彼らはその立場ゆえに、戦中にDOPSから資産凍結や理由の不明な長期勾留などの不当な扱い、人によっては拷問までを受け、独裁政権に対して心が折れてしまっていたのではないか。そんな理不尽な戦時中の処遇に、ひたすら従順に耐え忍ぶことで生き延びる道を選んだ。  だが、そん ...

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日本移民110周年=サントス日本語学校の完全返還=ようやく訪れた「本当の終戦」=(4)=戦勝情報というフェイクニュース

サントス強制立退き者の名簿(写真=松林要樹さん提供)

 当り前だが、戦争中はどんな精神状態の人でも祖国に帰るという選択肢はなかった。そして、ヒトは抑圧され、バカにされると「いつか見返したい」「誰かが仕返ししてくれるはず」という希望を抱く。それが「日本軍が上陸してブラジル政府を罰する」という幻想につながった。  だから、「日本民族は世界一」的な言説によって自尊心を維持する心境が強くな ...

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日本移民110周年=サントス日本語学校の完全返還=ようやく訪れた「本当の終戦」=(3)=「南米における日本移民の出エジプト記」

日本移民らのサントス強制立退きを報じるトリブナ・デ・サントス紙1943年7月10日付

 1942年1月にブラジルが連合国側について以来、ドイツ潜水艦による米国向けブラジル商船などへの攻撃が始まった。ブラジル政府はその対抗処置として、枢軸国側移民の資産凍結を始め、4月からはDOPS(社会政治警察)が日系社会の主だった指導者を次々にスパイ容疑で収監し、拷問する時代になった。  そんな収監者を支援するために、1942年 ...

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日本移民110周年=サントス日本語学校の完全返還=ようやく訪れた「本当の終戦」=(2)=政府批判に腰が引けていた邦字紙

日系社会のドン・キホーテ、上新さん(2016年9月7日、深沢撮影)

 ブラジル日本移民百周年の際に、百年史編纂に関わり、邦字紙の歴史を書いた。その時に痛感したのは、ブラジル政府批判に関して邦字紙はどこも腰が引けていたことだ。邦字紙には1941年にゼッツリオ・ヴァルガス独裁政権によって強制廃刊させられた辛いトラウマがある。  その当時の幹部らが終戦直後1946年から復刊させ始めたので、政府にたて突 ...

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日本移民110周年=サントス日本語学校の完全返還=ようやく訪れた「本当の終戦」=(1)=上さんの執念の秘密はどこに?

右がサントス日本人会の橋本広瀬春江マリセ現会長。6月18日にサントス日本語学校で行われた名義変更の署名式(大澤航平記者撮影)

 先週7月8日は、戦時中最大の日本移民迫害といわれるサントス強制立退きから70周年という節目の日だった。しかも今月は、日本から眞子さまをお迎えして日本移民110周年の式典が各地で開催される大事なタイミングでもある。それゆえ、先月の「サントス日本語学校の完全返還」は110周年を象徴する出来事と言えそうだ。そこまでの流れを、長いこと ...

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