2019年
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(14)
騒乱 終戦と同時にバストスが半ば壊滅してしまった…その時期、この国の邦人社会は、別の理由で騒乱状態に陥っていた。 その騒乱は、実は戦時中から始まっていた。サンパウロ州のノロエステ線、パリスタ延長線
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(13)
ここで少し補筆しておくが、1941年末の日本の開戦後、連合国側についたブラジル政府は翌年1月、日本との国交を断絶した。同時に在伯日本人を敵性国人と指定した。さらに、敵性国資産の凍結令を発した。これは
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(12)
ブラタク製糸の実務を担うことになった前記二人の内、天野賢治は1905(明38)年、横浜市に生まれた。地元の商業学校を出た後、近衛聯隊勤務(少尉)を経、横浜の糸商に就職、ニューヨーク支店に派遣された。
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(11)
難航に次ぐ難航 前項で記したパニックのさ中、ブラ拓事務所が直営農場で栽培・飼育したモノの中には、蚕もあった。 養蚕は、入植者の中の農業者の多くが、日本で経験していた。それと、サンパウロ州政府も蚕糸
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(10)
世界一! ここで、一寸と話は飛ぶが――。 この国の日系コロニアで政治、経済、文化、スポーツその他いかなる分野でもよいから〝世界一〟の折り紙をつけられる対象があるだろうか……といった類のことは、筆者
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(9)
連合会幹部、更迭 前項までに記した様な乱れに併行、移住地経営上の一大齟齬が生じていた。日本からの入植者が、毎年200家族の計画に対し、実績は1929年は既述の様に64家族、1930年は23家族、31
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(8)
乱れに乱れる 移住地の乱れは、1930年に入ると、一段と激しくなった。 2月、畑中は入植者二人を移住地から追放した。この二人はブラ拓事務所へ盾突き続けていた。 詳細については資料を欠くが、相当荒
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(7)
反故にされた〝県移住地〟 入植早々からのバストス移住地の乱れには、もう一つ大きな種があった。 入植者が日本出発前に移住組合で聞いた話では「バストス移住地を、県単位で幾つかの移住地に分割する。鹿児島
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(6)
不平・不満が百出… 1929年、バストス移住地は6月以降、数回に分けて、日本から入植者を迎え入れた。ところが、200家族の計画に対し、年末までに到着したのは64家族に過ぎなかった。しかも彼らは、日本
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(5)
不吉な兆し 連合会の移住地用の土地選定は、無理を犯して始めたが、やはり端(はな)から問題を孕んでいた。地質である。バストス移住地の土は、粒子が大きくて保水力が弱く、作物に必要な栄養分が流れてしまう砂