下元一家が味わった苦痛は、実は日本移民の多くが経験したことであった。「金の成る木」は嘘であった。しかも、その宣伝もしくは噂を誰が流したか判らなかった。そのため、苦情を持って行く先がなかった。 実際の収入は、間作をして当てでもしない限り、僅かなものだった。「間作」とは、ファゼンダ(農場)側からカフェーの樹間の土地を無料で借り、 ...
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新日系コミュニティ構築の鍵を歴史に探る=傑物・下元健吉=その志、気骨、創造心、度胸、闘志=ジャーナリスト 外山脩=(2)
半世紀以上も昔のことであるが、筆者はある人物の壮年期の顔写真を初めて見た時、小さな衝撃を受けた(凄い面構えだ!)と。巌の様な骨相であった。眉は長く太く、口も大きく、鼻と頬骨とあごが突き出し、写真でありながら強烈な“気”を発していた。これが下元健吉であった。 彼と同時代、日系社会の指導者の一人であった山本喜誉司は、観相の心得があ ...
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今、コロニアは消えつつある。残り火はわずかでしかない。 新たな日系コミュニティ(コムニダーデ)形成の流れは存在するが、まだ水勢は弱い。強くしなければならない。そのための効果的な方法、つまり“鍵”を発見するためには、歴史を振り返ってみると効果的である。 幾つかの鍵が発見できるが、先ず百十余年の日系社会史上、「傑物」の筆頭と言 ...
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