連載
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=(30)=外山 脩
日系の町ではなくなっている バストスは2018年、移住地開設90周年を迎えた。 その90年という長い歳月をかけて苦心惨憺つくりあげた町であるが、実は「経済を除けば、すでに日系の町ではなくなっている
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=(29)= 外山 脩
前項で水本豊氏が言っている様に、卵の販売価格の監視を受けていた処は総て潰された。 では、それ以外は無事だったかというと、そうでもない。そこに至る経緯は、色々あったであろうが、やはり「恩典付き融資で
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=(28)=外山 脩
政府に潰された! 水本の奇跡には、先に記した創造心以外に二つ要因があった。一つは連邦政府が1960年代後半から始めた農業奨励策=恩典付き融資=である。利子をインフレより低く設定、投資・運転資金を
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=(27)= 外山 脩
創造心 筆者は水本豊氏に、二度会った。2012年バストスで、2013年サンパウロで。 氏は、それより30数年前、事業の本部も住まいもサンパウロに移していた。バストスには、仕事の関係で、時々行ってい
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(26)
水本の奇跡 1960年代半ば過ぎ、バンデイランテ産組もその出張所も消えたが、バストスの養鶏産業は興隆期に入っていた。さらに先に触れた様に、かつて鶏飼いを手伝っていた子供たちが成人になる頃から、規
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(25)
主婦と子供の姿 バストスに於ける養鶏の初期の光景を──人の話や資料類から──想像すると、主婦と子供の姿が浮かび上がって来る。庭先や鶏舎で鶏の世話をする主婦、それを手伝う子供たち…。この、まことにささ
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(24)
破竹の勢い 1946年1月、バンデイランテ産組の理事会は、バストスに出張所を開くことを決定、所長に水間久を指名した。水間は固辞したが、専務の原田は辞令を送付した。すると水間は上聖、理事会で、存亡の危
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(23)
ブラジル一! 話をもう一度、終戦直後に戻す。 何度も書いたことだが、当時この国の蚕糸業は崩壊、バストスもバストスそのものが半ば壊滅してしまっていた。大半の住民が生きる方途を求めて、次々と他へ移動し
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(22)
新たな危機! 世界一となったブラタク製糸にも、実は新たな危機が近づいていた。生糸の販売量の恐ろしいほどの減少である。1991年の1、000㌧台から以後漸減し、21年後の2012年には半分の500トン
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『百年の水流』開発前線編 第四部=ドラマの町バストス=外山 脩=(21)
遂に一社だけに… 1983年、この国の生糸の生産はブラタク製糸が52%を占め、日系進出組が47%、非日系1%となっていた。ブラタクは、進出組6社と競合、過半のシェアを確保していたのである。 進出組