連載
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続・海を渡ったサムライたち=日伯セレソン物語=田中マルクス闘莉王(中)=教育熱心な祖母が後押し=プロ1年目=広島へルーツ訪ねる旅
3月10日(水) カッカッカッ――時折、町中を走る馬車の音が牧歌的な雰囲気を漂わせる。 サンパウロ市から北西に約六百五十キロ。牧畜で知られるパウメイラ・ドオエステ市は人口約一万人ほどの小さな町だ。 在
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続 海を渡ったサムライたち=日伯セレソン物語=田中マルクス闘莉王(上)=「君が代」で気合が入る=日本に恩返ししたい22歳
3月 9日(火) わずか四ヶ月前までブラジル国籍しか持たなかった日系三世は、緑に輝く芝生に直立していた。 まだ真冬真っ盛りの今年二月八日――。 埼玉スタジアムで行われたサッカーアテネ五輪代表の
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日本文化の伝承を考える(17)=自然のとらえ方
3月 6日(土) 日本の自然は水が豊富に有り、人を寄せ付けないという厳しい自然ではない。四季の変化があって人は自然の変化に順応する。台風、地震などの天災はあるものの一過性である。日本人の自然に対する
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日本文化の伝承を考える(16)=農耕民族
3月 3日(水) 日本の文化と欧米の文化の違いを遊牧民族と農耕民族の違いに帰して説明しているのを度々見かける。果たしてそうなのだろうか。日本は確かに農耕民族の社会である。しかし東南アジアのほとんど
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日本文化の伝承を考える(15)=島国根性
2月28日(土) 一九七〇年代の初めブラジルに着いたばかりの私は、モジアーナ線のサン・シモンで焼き物を始めるべく町外れにある古い一軒家を借た。そして裏庭に小さな薪窯を築いて、ブラジルでの焼き物の製作
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日本文化の伝承を考える(14)=世間を配慮した言動
2月24日(火) ブラジルの社会では人の目につくところ、例えば街の広場、電車の中、公園などに、片端(かたわ)と呼ばれる人を見かける機会が多い。日本の方が医療環境がよいとは言え、このような人の生まれる
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日本文化の伝承を考える(13)=イエ社会
2月21日(土) 本田技研がアメリカの規定に合う、公害の少ない排気ガスのエンジンCVCC開発プロセスを番組にしたNHKの「プロジェクトX」がTV CULTURAで紹介された。その番組の中で、社員が二
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日本文化の伝承を考える(12)=上下関係
2月18日(水) どの社会にも集団が機能するために、上下関係が存在する。例えば会議などで着席するとき、それぞれの社会によって、上の者が占めるべき席というのは自ずから定まる。 日本の場合、この上下関
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日本文化の伝承を考える(11)=自分を指す言葉=相手を指す言葉
2月14日(土) 言語学者・鈴木孝夫によれば、日本人の自分を指す言葉、相手を指す言葉の使用に関して実に見事な規則性があるという。この規則性を基本的に支えているものは、目上(上位者)と目下(下位者)と
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日本文化の伝承を考える(10)=自分を指す言葉=相手を指す言葉
2月11日(水) 日本では父親、母親が家のなかで子供と話をするとき、父親の場合自分のことを「おとうさん」とか「パパ」、母親の場合「おかさん」とか「ママ」と言う。甥や姪と話をするときは自分のことを「お