「お前さん、わしが長い間、女の髪で作った馬の轡や端綱を使っていたこと知ってるかね?……もっとも、そのことにまったく悪意はなかったんだが」 ずっと後で、髪の主が死んだと聞いた。それを知ってすぐに馬で駆けつけ、通夜から埋葬まで付き合った……。遺体を墓穴に降ろしたとき、まだピチピチの娘だったころの髪で作った轡や端綱を柩の上に放り込んだ ...
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ガウショ物語=(25)=皇帝の伝令=<3>=慈悲深い陛下のお気持ち
また、別の折、車座になっておったのだが、一人が短刀で掌のトウモロコシの皮を伸ばして、編み煙草の一切れを刻み始めた。刻んだやつを掌のくぼみでよく捏ねてから、さっきのトウモロコシの皮で包んで巻き煙草にすると、自信たっぷりに陛下に勧めたもんだ。「ひとつ、いかがでしょうか」「いや、結構だ。その煙草はどうもきつそうじゃないか……」「いや ...
続きを読む »ランショ・ダ・トライーラ=聖週間前にTV局が取材=ピラルクーのバナナ包み焼き
創業10周年を迎えるサンパウロ市ヴィラ・マリアーナ区の川魚料理店「ランショ・ダ・トライーラ」(Rua Machado de Assis, 556)に24日午後、テレビ局RECORDの有名司会者、アナ・ヒッキマン(Ana Hickmann)の番組スタッフが取材に訪れた。来週が聖週間(セマーナ・サンタ)で、肉食を断ち、魚料理を食べ ...
続きを読む »ガウショ物語=(9)=底なし沼のバラ=<1>=美しくも不吉な花のいわれ
「見えるかね。あそこの下の方、丘陵の右手の方にあるウンブーの木が?」 そう、あそこが廃屋になってしまったマリアノの屋敷だ。あの寂れた場所に一本の桃の木があって、その実のうまいことといったら、わしはほかで出会ったことがない。今でもマルメロの木がたわわに実を結んでいるが、それはそれでまた、びっくりするほど見事なもんだ。 さらに三、 ...
続きを読む »樹海
昨年末から年初にかけて、約1カ月の休暇をとった。年に1度、思う存分羽を伸ばせるのがブラジルの良さだ。いや、むしろそれが世界の標準かもしれないが▼今年は、バイーア州都サルバドールを訪ねた。海が望めるホテルに泊まり、歴史地区ペロウリーニョを周遊し、リオ・ベルメーリョ区で旨いと評判のムケッカと作りたてのアカラジェを賞味し、舌福(ぜっ ...
続きを読む »パナマを越えて=本間剛夫=6
夕暮れの灰色の風景の中でユーカリの梢が川風に揺れていた。多くの山脈に源を発するこの大河は、無数のせせらぎを集めて一本の流れとなって大西洋に注ぎ、南米第一のアマゾン川となる。 こんな広大な川を八千トンの日光丸が、なぜ、どこまで遡るのか。せいぜい100キロで支流の群れに奔ばれてしまう。幽かなエンジンの響きは低速だからだろう。進んで ...
続きを読む »日本人とインディオの〃深い関係〃
戦前に邦字紙『サンパウロ州新報』を創刊した笠戸丸移民の香山六郎は1908年6月、サントス港から移民収容所に向かう汽車の中で、〃移民の草分け〃鈴木貞次郎から「ブラジルには日本人に似た土人がいるよ」と聞かされた。香山は「その土人は日本語を話すんですか?」と感激して問うと、鈴木は無言で見つめ返し、この馬鹿が、というような表情を浮かべ ...
続きを読む »県連ふるさと巡り ペルー=115年経て受け継がれる日系魂=(6)=遺跡の眠る街リマ観光へ=ユネスコ世界遺産を見学
二日目はバス3台でリマ市の観光ツアーへ。外は、夜間に街を覆った霧ですっかり濡れていた。今日もやはり曇天――。上着を着込んでバスに乗り込んだ。 リマは1535年、スペイン人の征服者フランシスコ・ピサロがインカ帝国を滅ぼして築いた街。コロンビアからチリに跨り、スペインの南米支配の拠点として栄えた同帝国は、400年の繁栄に終止符を打 ...
続きを読む »■ひとマチ点描■僻地と魔境三昧経て作家に
青年隊10期の平島征也さん(せいや、75、熊本県)は来伯当初の5年間、「オンサ、スクリーを見るのは日常」という密林の真っただ中、一人で自給自足しながら薬草栽培をした実体験を描いた『魔境~マットグロッソ アマゾン・ラプラタ分水嶺』(不知火書房、12年)を日本で出版した。 「これが意外に好評で、出版社から『次回作を書いてくれ』と要 ...
続きを読む »「都市と水」を考える=サンパウロ市で国際フォーラム開催
サンパウロ州の水不足の危機が叫ばれ始める前から、ベイ出版社が4年前に出した書籍『Como Cuidar da Nossa Agua(私達の水をどうケアするか)』は、ブラジル内の水供給の不規則さを指摘していた。同書によれば、ブラジルの水資源の80%はアマゾン地域にあるが、人口超過のサンパウロでは住民一人当たり81万リットルの水し ...
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