ニッケイ新聞 2013年6月28日 青柳が移民を送り出していた当時のフィリピンは、1898年の米西戦争の結果、米国の支配下になっていた。1903〜4年がフィリピン向け移民のピークで5千余が渡った。ルソン東北部山岳地帯のバギオに通じる「ベンゲット道路」敷設工事などの単純肉体労働者が大半で、高い賃金目当ての男性単身者が多く、しかも ...
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日本移植民の原点探る=レジストロ地方入植百周年 ◇前史編◇ (2)=「ブラジルのナイル河選民」=不便な遠隔地を文明化
ニッケイ新聞 2013年6月25日 《リベイラ渓谷はブラジルのナイル河と言われているが、一九五三年八月十八、九両日、レジストロ入植四十周年記念祭が挙行された。日本人移住者が、ブラジルのナイル河流域の選民として、開拓四十年という輝かしい歴史を作るに至つたのである》『在外日本人先駆者伝』パ紙、55年、6頁、以下『先駆者伝』)。 ...
続きを読む »連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第83回
ニッケイ新聞 2013年5月28日 「父も母も韓国人なの。私の中に流れているのはまぎれもなく韓国人の血なの」 「韓国人の血」、「民族の血」という言葉を美子はしばしば口にした。その強い口調とは対照的に、美子はいつも自分の中にある不確かさに脅えていた。地図も持たずに不慣れな山に登るようなおぼつかなさを彼女は常に抱えていた。 児玉 ...
続きを読む »サンパウロ州=犯罪抑止の警官にボーナス=施行は来年の上半期から=アウキミンは連邦政府批判も
ニッケイ新聞 2013年5月24日 ジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事は22日に記者会見を開き、サンパウロ州での犯罪撲滅に貢献した警察官に対し、半年ごとにボーナスを支給することを明言した。23日付伯字紙が報じている。 犯罪率低下に貢献した警察官にボーナスを支給するというアイデアは、昨年8月に当時軍警司令官だったロベルヴァ ...
続きを読む »連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第79回
ニッケイ新聞 2013年5月22日 「二、三日姿が見えないと、他の移民が訪ねていくと、両親はすでに死んでいて、遺体に湧いたウジで子供が遊んでいた。遺体は腐乱が激しくどうすることもできず、子供を引きはなして、家ごと燃やしたケースもあったくらいだ」 「野村さんも日本人移住地に入られたのですか」 「わしらはコーヒー栽培にすぐに見切りを ...
続きを読む »連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第78回
ニッケイ新聞 2013年5月21日 サンパウロ近郊なら、その日の夕方までには着いたが、遠距離になると二、三日後に店頭に並ぶことになる。野村は農業を離れると、雑貨店を経営しその店で新聞を売っていた。 外は日が高くなるに連れて、気温は急激に上昇した。児玉はマリーナと一緒に野村の家で朝食を摂ることになった。近くのパダリア(パン屋) ...
続きを読む »連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第77回
ニッケイ新聞 2013年5月18日 三時間ほど走り、ドライブインに入り休憩した。昼間の熱気がまだ残り、車を降りた瞬間汗が噴き出してくる。次々に長距離バスも入ってくる。ドライブインは二十四時間営業で、ボリュームをいっぱいに上げたスピーカーからサンバが流れていた。 「もうすぐカーニバルよ」マリーナが言った。 毎年二月末にカーニバ ...
続きを読む »連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第75回
ニッケイ新聞 2013年5月16日 マリーナも現在の日本の様子を日本語で質問してきた。 「広島までバスで何時間くらいかかりますか」 「天草はきれいな島ですか」 マリーナの関心は東京よりも祖父の故郷広島、祖母の生まれた天草にあった。児玉は広島には二度ほど訪れたことはあったが、天草どころか九州にさえ行ったことはなかった。サンパウ ...
続きを読む »連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第73回
ニッケイ新聞 2013年5月14日 川添はブラジルが無限の可能性を秘めた国であることを強調した。児玉は川添の説明を丹念にメモしながら聞いた。三十分ほど川添の講義を聞いた後、児玉は広報課を出た。階段を降りたところで児玉はマリーナに会った。彼女も児玉に気づいたらしく挨拶してきた。 「ボンジア」 「マリーナは組合で働いているの」 「 ...
続きを読む »連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第72回
ニッケイ新聞 2013年5月11日 日系人が多く加盟している農業組合はコチア産業組合で、コチアには日系人に限らず一般のブラジル人も会員になり、ブラジル最大の農業組合に成長した。もう一つは南伯農業組合で、この組合はサンパウロ州、パラナ州の日系人会員が多かった。 南伯農業組合は児玉が住むトレメ・トレメの目と鼻の先にある。トレメ・ ...
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