ブラジリアの概要

ニッケイ新聞 2013年8月16日

 飛行機が翼を広げた形をした首都ブラジリア。フランス生まれの建築家ルシオ・コスタによる「パイロット・プラン」と呼ばれる設計図に基づき、ほぼ無人だった荒野に飛行機などで建設機材を運び込み、人造湖まで作ってゼロから建設した計画都市だ。

 リオからブラジリアへの遷都・都市建設は「50年の進歩を5年で」とうたったジュセリーノ・クビチェッキ元大統領の一大プロジェクトで、4年の任期中に建設を完了させるべく急ピッチで工事が進められた。1956年11月の着工から、完成したのは1960年4月というから驚きのはやさだ。

 104歳で昨年亡くなった巨匠オスカー・ニーマイヤーが主要建設物の設計を手がけており、モダンで未来的なデザインが特徴。1987年には世界文化遺産に登録された。

 大統領府(Palacio de Planalto)、連邦議会(Congreso Nacional)、最高裁判所(Supremo Tribunal Federal)がある三権広場(Praca dos Tres Poderes)の中で興味深いのは、上下のお椀型が特徴の連邦議会。ニーマイヤーの構想では、上院は保守的な議会なので上に閉じた形、下院は人々の声をよく聞き新しいアイデアを出すべき議会なので上に開いた形にしたとか。内部の見学もできる。

 広場の大統領府に近い場所には「2人の戦士」の像が、最高裁判所寄りの場所には目隠しをして剣を持った女性の像があり、公正な裁判を意味していると言われている。

 他にも大統領官邸、官庁街、外務省、テレビ塔、クビチェッキ元大統領の棺が安置され、関連資料が展示されているジュセリーノ・クビチェッキ記念館、コンクリートでできた半地下式のメトロポリターナ大聖堂などが見所。大聖堂の特徴ある形は、祈りのさいの両手を組んだ形とも、キリストが被っていた茨の冠の形をしているとも言われている。

 W杯の7試合が行われるのはブラジリア国立競技場(マネ・ガリンシャ・スタジアム)。すでに修復工事は完了しており、今年6月18日のコンフェデレーションズカップの開幕試合が、こけら落としの試合となった。収容人数は7万2千人だ。

 1974年に落成したスタジアムは、コンフェデレーションズカップやワールドカップのために3年弱かけて改修工事が行われ、総工費は12億レアル(約528億円)に上った。

 サンパウロからは、飛行機で1時間40分(乗り継ぎなし)。スタジアムはジュセリーノ・クビチェッキ国際空港から約15キロ、メトロの最寄り駅は「Estacao Central」。駅からスタジアムまでは3キロ、歩いて40分ほど。空港からは近くまで行くバスが出ており、そのほか市内巡回バスもある。