エスタジオ・ベイラ・リオ (Foto: Gabriel Heusi/ Portal da Copa/ME)
Foto: Gabriel Heusi/ Portal da Copa/ME

ポルト・アレグレの概要

ニッケイ新聞 2013年8月29日

 ブラジル最南端のリオ・グランデ・ド・スル州の州都ポルト・アレグレ。「陽気な港」という意味で人口は約150万人、清潔で近代的な雰囲気が漂う南部の重要な都市だ。

 冬はかなり気温が下がるものの、年間を通じて冷涼で過ごしやすい気候。ウルグアイとアルゼンチンとの国境に設置しているため人の往来も多く、スペイン語のような発音のポルトガル語が聞こえてくる。

 同州の出身の人は「ガウーショ」と呼ばれるが、ガウーショとはアルゼンチン、ウルグァイ、ブラジル南部のパンパ(草原地帯)などでかつて牧畜に従事していた、スペイン人と先住民族の混血住民のことだ。

 アソーレス諸島のポルトガル人60組が移住したのが起源で、市の設立は1722年。ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、ポーランド人、レバノン人などヨーロッパを中心とした多くの国の移民によって形成されてきた。そのため、質実剛健、素朴な性質が特徴のガウーショの文化が残り、町にはヨーロッパの香りが漂う。

 サッカー選手を多く輩出しており、ロナウジーニョの出身地としても知られる。他にも歌手の故エリス・レジーナ、ブラジルを代表するトップモデルのジゼーリ・ブンチェンなどの有名人もポルト・アレグレ出身だ。

 市内にあるリオ・グランデ・ド・スル美術館、リオ・グランデ・ド・スル記念館、メトロポリターナ大聖堂などは、お勧めの観光スポット。2階建てのバスで廻れるシティ・ツアーもある。

 ブラジルを代表する料理といえばシュラスコだが、実はここ南部が発祥だ。ポルト・アレグレに来たら、ぜひ本場のシュラスコを味わいたいところ。地元の人のお勧めは牛のコステーラ(肋骨)だが、本場ではぜひラム肉にも挑戦してみたい。

 また、ここでは既に日本でも知られる存在となったマテ茶(シマロン)の飲み方に特徴がある。茶色のひょうたんの容器にぎっしり茶葉を詰め、上からお湯をかけて砂糖は入れずに飲む。道端で、ひょうたんに銀製の太いストローをさしてお茶を回し飲みする人の姿を見かけるかもしれないが、それはガウーショの習慣なのだ。

 W杯が行われるスタジアムは「エスタジオ・ベイラ・リオ」(正式名称はエスタジオ・ジョゼ・ピニェイロ・ボルバ)。1969年に落成し、W杯に向けて改修を行っている最中だ。完成度は現時点で76%。

 サンパウロからは直行の飛行機があり、1時間半余りで行くことができる。