アレーナ・コリンチャンス (Foto: Danilo Borges/ Portal da Copa/ME)
アレーナ・コリンチャンス (Foto: Danilo Borges/ Portal da Copa/ME)

サンパウロ

ニッケイ新聞 2013年8月30日

 ブラジル最大、かつ南半球最大のメガシティ、サンパウロ。南東部サンパウロ州の州都で、人口は1100万人以上、高層ビルが立ち並ぶ大都会だ。世界各国から大企業や金融機関などが多数進出し南米の経済の中心地でもあるこの街は、ヨーロッパ系、アラブ系、そして日系など各国の移民によって形成された文化と歴史を持つ。

 内陸に位置するサンパウロは、もともとは開発が遅れた田舎町だった。リオデジャネイロとは比較にならない一地方都市に過ぎなかったが、19世紀に入り、サンパウロ州内で、気候に適したコーヒー栽培が始まってから発展し始めた。

 街の中心はセー広場とその周辺のセントロ地区。隣接して広がるリベルダーデ地区は、もともとは日本人街、現在は東洋人街と呼ばれ、至るところで日本語の文字が目に飛び込んでくる。

 サンパウロ市内やその近郊には、路線バスと地下鉄(メトロ)、鉄道(CPTM)の路線網が密接に張り巡らされている。特にメトロは観光客でも比較的安全で利用しやすい。見所としてはサンパウロ近代美術館(MASP)、イビラプエラ公園、サッカー好きの人はモルンビー、パカエンブースタジアム、アイルトン・セナの墓などがメジャーだ。

 メトロと電車が接続するルス駅は、1867年に建設され、壮麗な外観と趣のある内部の構造が魅力的。コーヒー産業で栄えたサンパウロ市を象徴する、立派な歴史的建造物だ。ブラジル以外のポルトガル語圏を含めたポルトガル語に関する概要を学べる、その名も「ポルトガル語博物館」も面白い。

 サンパウロは重要な文化の発信地でもあり、一年を通して数々の音楽ライブ、演劇など文化のイベントも数多く行われている。カルチャー好きの人には要チェックだ。

 郊外には、市内からバスに乗れば約1時間で行ける港町サントスがあるので、余裕があれば足を伸ばしてみたい。サントス湾をクルーズできる船が出ているほか、現在は博物館となっている旧コーヒー取引所、路面電車などがある。かつて日本人移民が降り立った場所として、その歴史に思いを馳せるのもいいのではないだろうか。

 W杯の開幕試合が行われるスタジアムは、現在建設中の「アレーナ・コリンチャンス」。昨年のクラブ・ワールドカップで優勝したコリンチャンスのホームスタジアムとなる。2011年5月に着工され、現在の完成度は86%。今年12月の落成が予定されている。