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デカセギ教育=シンポジウム=連載(2)=就学実態調査の大切さ=岐阜県可児市、積極改善に動く

2005年9月20日(火)

 伯日比較教育シンポジウムで十一日、岐阜県可児市教育委員会で外国人児童生徒コーディネーターをする小島祥美さん(31、埼玉県)が、これまでの研究の成果や地域での取組みの様子を発表した。
 「可児市では今年の四月から、不就学ゼロへの取組みを始めました」と全国的にも珍しい動きを伝える。同市は人口約十万人でブラジル人は四千五百人いる。
 小島さんは「日本では教育の機会が均等ではない」と訴える。日本人の子どもは義務だが、外国人は学校に行かなくてもいいという行政側の態度があり、外国人子弟に関する本格的な実態調査もなかった。
 彼女が中心になって〇三年から今年三月にかけて三回、市内の外国人子弟(六~十四歳)の家庭を全て訪問する調査を行った。その結果、約三百五十人の子どものうち、日本の公立校に行っているのは約四割、外国人学校へは約三割も通っており、「外国人学校は日本にとってとても大切な施設になっていることが分かった」という。
 親へのインタビューのなかで、「仕事が安定してないために、将来子どもをどこの学校へ入れたらいいか悩んでいる親が多いことが分かりました」と報告する。従来は「外国人の親は教育に関心がない」と思われてきたが、実際は「仕事が安定してないために親も悩んでいる」という。
 この調査結果を市長に報告したところ、「不就学ゼロ宣言」につながった。それまでなかった市役所内での、外国人子弟への公立校への入学案内が始まった。
 さらに教育委員会でも外国人の子どもの教育に関しての考え方を文面化し、新プログラムも始めた。まったく言葉が分からないこどもが、入学初期指導として日本語を集中的に受講できるようにした。その他、一部の公立中学ではポ語授業をはじめ、日本人生徒と一緒に日系子弟が学ぶ姿が見られるようになった。
 「今まで元気のなかったブラジル人の子どもが、その授業ではとっても元気になります。テストの前には日本人の子どもが『これ、なに?』って教えてもらいにきたりするようになった」
 教師向けのポ語教室まで行った。調査結果により「このように動き出したのです」という。文科省も本腰をあげ、今年四月から外国人の子どもの就学調査をはじめた。「行政と市民と教育現場との連携が深まり、このような取組みができました」。
 最後に「日本に来る前に、できれば高校一年まで終わらせてからきてほしい」とお願いした。義務教育年数がブラジルは八年、日本は九年と異なることから、こちらで高校一年まで終了しないと日本の高校に編入できない。
 今回の来伯中に、ブラジルの教育制度、内容を調査する予定。 (つづく)

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