3月18日(金)
「コロニアは割れてはいけない」。そう下本八郎元州議は強調した。
「百年祭は全伯の日系の人々のもの。委員のみなさんが何人かで決めていくのは無理があると思う。それではコロニア全体のコンセンサスが得られない。コロニアで割れてはいけない。今の文協執行部に対抗シャッパが出るのは残念なこと。上原さんは立派な方だが、百年祭にはコンセンサスが得られていない」と箴言した。
さらに「割れるぐらいなら、地鎮祭を百年祭の時にやった方がいい。それまでに十分話し合って、これでいいという計画にした方がいい。ジレトリアの方はもっと心を大きくして、みんなの意見を聞いた方がいい」と語った。
続いて、ブラジル日本商工会議所理事の赤嶺尚由氏は「今さっき、野村丈吾元連邦下院議員から、文協のすぐ隣の陸軍兵舎の建物を買収できる可能性が改めて出てきたとの発言がありましたが、それを非常に重く受け止め、基本的に賛成したい」と賛同の意志を明らかにした。
「これまで出ている日伯総合センター建設案は、日系人一般に極めて便利なリベルダーデ界隈を離陸して、二十年、三十年後のことを考え、ヴィラ・レオポルジーナ方面に新しい着地点を見出そうとしているが、今健在でいる一世や二世のお年寄りの利便性を考えずして、何で将来を見つめようとするのか。今までの総合センター建設案が本当に日系社会の身の丈、実力に合ったものかどうか、野村さんや下元八郎さんが言うように、これからでも議論を活発にし、万機公論に決する形で、コンセンサスを出してほしいと思う」との考えを述べた。
赤嶺氏からコメントを求められた上原理事長は、「僕は五十一年間USPで教えています。六千人から七千人の学生を指導し、ブラジル代表としてユネスコの会議にも行きました」と、いつものように経歴を自己紹介した。
「しかし、このような行いはAでも、会長としてはBのようです。会長のポジションは難しい。私は役に立たない会長です。でも、会長にさせられた以上、二~三年、一生懸命やろうと毎日言い聞かせています」との心中を述懐した。
「百四十万人の日系人がいますが、全員の意見を聞くのは無理だと思う。できる範囲で聞くようにしています。僕たちのドアはいつでも開いています。僕は七人の副会長と二十何人の理事、さらに委員会、みんなの意見を聞いています。みんなが右へ行きたいなら右に行きます。自分のために来ているわけではありません。僕は二年間文協で、毎日八時間以上仕事していますよ」と訴えた。
次は山里アウグスト氏が個人的百周年として毎日小説を執筆していると語り、「日本には素晴らしい心があることを、大半の人は無視している。百年祭にこの心がブラジルに残っていると知らせたい。そういう言葉が聞けると思ってきたが、建物の話ばかりで残念に思います」と述べた。
それに対し、吉岡黎明プロジェクト委員長は、実は「百周年遠征隊」計画という高齢者の証言をビデオで保存して回る記録事業を実施するために、「全伯の四百五十日系団体に協力要請状を近日中に送ります。移民の高齢者、ブラジルで苦労した年寄りの経験をなるべく残していく考えです」と答えた。 (つづく)
■高い関心、批判も続出=百周年事業案日本語説明会=連載(1)=総意固め、再び頓挫