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デカセギ教育=シンポジウム=連載(4)=外国人子弟の重要な問題=高校や大学への進学

2005年9月22日(木)

 伯日比較教育シンポジウムで十日、日本の国立国語研究所から参加した日本語教育部門第二領域の野山広領域長は、外国人子弟の「高校や大学への進学はもっとも重要な問題だ」と指摘した。
 現在、東京都の公立中学校生徒の約一%が外国人だが、高校では〇・六%に減少してしまう。「高校へ行けなかった、行かなかった子がたくさんいる」。
 外国人の高校生の三割は定時制に通っており、定時制全体の二%が外国人という統計がある。昼夜が同レベルのブラジルと違い、日本の場合は定時制(夜間)は、昼間の全日制よりも一段低く見られる傾向が強い。「昼間働き、夜勉強する子が多く、昼間の高校へはなかなか行けない」。
 一般高校へ進学する代わりに専門学校、それも定時制になどに進む割合が高い。都内の外国籍生徒全体に占める全日制専門学科の割合は二三%(都立高校生全体では一七%)、定時制専門学科(同二%)は九%、通信制は七%(同一%)と明らかに外国人生徒の方が多い。
 言語はそれだけでは充分でなく、生活と一緒に考えようとすすめる。「家族や地域社会の協力がとても大切。それによって子どもに会話力がついていく」と日語教室以外との連携の重要性を訴えた。
 日本経済団体連合会が〇四年に発表した「外国人受け入れ問題に関する提言」についても説明した。そこでは、社会状況に応じた外国人受け入れ施策の一大転換(充実)へ向けて、基本法の制定や「多文化共生庁」の設置と同時に、地域における日本語教育のプログラム化を含む総合的な支援方策に関する提言をしている。
 このように経済代表団体が日語教育に興味を寄せている現実があるという。文化庁委嘱の地域日本語教育推進事業で指摘された、日本国内の共通の課題として、次の四点をあげた。
 (1)日本語教室を充実させること、(2)日本語での交流活動を充実させるための研修プログラムの工夫やコーディネータの育成・確保、(3)日本語教育の関わる人のネットワークをより広く深く作ること、(4)人材・情報資源の蓄積、分類、流通を目指したリソースセンターの構築などを訴えた。
 最後に、「日本政府も第二言語としての日本語教育のカリキュラムを考えはじめるなど、良い方向へ持っていこうと努力しています」とアピールした。        (おわり)

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