2005年12月07日(水)
(6)イグアスの滝
◇1◇ イグアスの語源はツピーグァラニー語でイグ=水、アスー=大きな、大きな水を意味するそうである。世界三大瀑布の一つに数えられるイグアスの滝は、アルゼンチンとブラジルの国境をなすイグアス川と、パラナ川のほぼ合流地点に位置する。
全長二千七百メートル、落差七十五~八十メートルの断崖に水が流れ落ちるが、その水量は世界一といわれている。われわれは、九月十九、二十、二十一日の三日に亘り、三通りの方法で見学したが、いずれも滝の轟音、圧倒されるような水流と水煙にはただただ驚嘆させられた。今年、アマゾンは水不足で緊急対策がとられていたが、イグアスは、例年の三倍以上の記録的水量があり、途中からは通行止めになっていた。
まず、イグアスを川から楽しむボートツアーである。国立公園の森林の中をトラックとジープを乗り継ぎ、ボート乗り場まで行く。そこから、ゴムボートに乗り、水飛沫を浴び、急流をガツンガツン音をたてながら滝に向かって上っていく。この川上りは、途中の滝壷の下にボートを突っ込んでくれたりしてスリル満点である。全身ずぶぬれ、乗客全員ワーワーキャーキャーで、まさに轟音と悲鳴のこだまする中で、水流を体感した。
● イグアスの激流に乗り 滝みかな
◇2◇ ホテルの前には遊歩道があり、約二十分位で一番奥の滝に到着する。その展望台では、滝からもうもうと立ち上る水煙を含んだ風が吹き付け、雲に連なる様が見え、水塊が轟音とともに流れ落ち様子がまじかで見られる。滝の落ちる豪快な風景は見飽きないものである。
国立公園の中にあるホテルの前の広場から前方を見ると、川の対岸数キロ先にアルゼンチンが見える。そこには、滝から上がる白い水煙と真っ青な空に森の緑が見えた。その風景も記憶に残る。
● イグアスの 青と緑と白の色
◇3◇ 翌朝、アルゼンチン側からのイグアス見物に向かう。ホテルから車で三十分位で国境につく。滝が落ちている川の中心が国境である。滝一帯は、二十二万五千haが国立公園である。
電車に乗って滝近くまで行き、電車を降りて森の中に造られた遊歩道を進むと滝の上に掛けられた橋が現れる。アルゼンチン側は、滝壺の上の部分に位置するため、すぐ真下に吸い込まれるように膨大な量の水が流れ落ちていくのを眺める。最大の見物は、「悪魔ののど笛」(ガルガンタ・ド・ジアボ )と呼ばれる滝で、もうもうと水煙をあげながら水が流れ落ち行く様である。角度によりその中に虹ができていた。
●イグアスの霧滴の中に 虹が映え
ここまでくると日本人がほとんどいない。イタリー、スペイン人などヨーロッパ系と地元アルゼンチンの人々が多く、皆、陽気である。久しぶりにお天気もよく、揃って遠足を楽しんだという一日であった。
(岡本弘昭さん通信、つづく)
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