2005年10月22日(土)
二〇〇一年十月三日付け
『Veja Sao Paulo』誌の「Melhores Escolas da Cidade」(最優秀私立校特集)にとりあげられた、百人の教育関係専門家がサンパウロ市内の私立コレジオ三百二十四校からの選出した五十優秀校を見ると、エスニック系コレジオは次の如くいずれも上位を占めている。
【1位】Colegio Visconde de Porto Seguro=94・1ポイント(ドイツ系)
【7位】Colegio Miguel de Cervantes=81・1=(スペイン系)
【8位】Colegio Dante Alighieli=79・9(イタリア系)
【10位】Colegio Humboldt=76・9(ドイツ系)
【14位】Colegio I.L.Peretz=76・0(イスラエル系)
【18位】Colegio Hebraico Brasil Renascenca=73・0(イスラエル系)
この中で歴史的に古いものは一位のPorto Seguro校の百二十三年であるが、創立後もっとも最近なのは一九七八年にできたColegio Miguel de Cervantesの二十三年である。同コレジオはスペイン系社会がモルンビーに土地を手当てし、学校建設費はスペイン政府の援助によって出来たものである。創立僅かに二十三年にして七位の優秀校としてあげられていることは何によるものかを考えるべきであろう。
「これだけブラジル社会に日系後継者が融合してしまっている現状において、いまさら日系コレジオ創設には時期的に遅すぎる」と言う声もある。しかし、スペイン系移民の最盛期は十九世紀後半であり、二十世紀以降ブラジル移民の中では最も多かった日系に較べ、スペイン移民は同世紀には大幅に減少し、見るべき程の数はなかった。
移民の歴史百数十年をへて混血も進み、六世七世を数える時に至って、スペイン系社会が本国政府とともにこのエスニック系コレジオを建設しようとした意図とは。そして短期間に一流校の上位に選出されるまでに至った、学校運営への努力は何のためであったのか。
日伯学園建設にあたって、われわれはスペイン系に限らず他のエスニック系コレジオのありようを、もっと具体的に調査研究・検討してみる必要があるのではないか。
そして、何よりも先に言えることは、われわれ日本人・日本文化の良き資質をブラジル社会に浸透させて行くのには、そうしたよきものを在校生育成の目的とし、校風として行くことである。そのためには、まだ人格の確立されていない少年期より長期の学習によって育成し、ブラジル社会に役立つ人格を形成し社会人として世に送り出すことである。
そのためにはやはり、初級・中級より始まる一貫したコレジオの形態が望ましい。Porto Seguroの校長は「われわれポルトは将来に役立つ学生を準備教育するためのコレジオである」と答えている。
いまからでも決して遅いことはない。先行各エスニック系コレジオを凌駕する日系コレジオを創設し一流校を目指すべきである。 (宮尾進、つづく)
■特別寄稿=連載(8)=日伯学園建設こそ=100周年事業の本命=コロニアの現状分析と意義
■特別寄稿=連載(7)=日伯学園建設こそ=100周年事業の本命=コロニアの現状分析と意義=なぜ民族意識が希薄なのか
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■特別寄稿=連載(4)=日伯学園建設こそ=100周年事業の本命=コロニアの現状分析と意義
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