ホーム | 連載 | 2006年 | JICAボランティア リレーエッセイ=最前線から | JICA青年ボランティア リレーエッセイ=最前線から=連載(16)=宇都宮祐子=Escola Professora Josephina de Mello(マナウス)=料理アマゾナス風

JICA青年ボランティア リレーエッセイ=最前線から=連載(16)=宇都宮祐子=Escola Professora Josephina de Mello(マナウス)=料理アマゾナス風

2005年10月27日(木)

 ブラジルに来てもう八カ月が過ぎた。真冬の日本から真夏のマナウスに来た。来たときも暑かったが、今はより暑い。ところ変われば、いろいろ変わる。気候・生活・習慣、そして食。海っ子であるため、海が恋しい。そして、魚が恋しい。しかし、アマゾン河は魚が豊富でおいしい。予想外であった。
 ある日曜日の早朝、一世の方についてフェイラに行った。ところ狭しと並んでいる魚たち。知った顔の魚はない。それもそうだ。海の魚でもない、ましてや地球の反対側。同じ顔をしているほうが不気味かもしれない。
 今、水揚げされたばかりとわかるほど目が透き通っている。この鮮度がおいしさを左右するのだろうと思った。魚を見極め、頭の中では今日のメニューが次々に思い浮かんでいるのだろう。
 昼食は、魚料理四品。すべて見た目は和風。てんぷらは、ピラルクーのすり身を揚げたもの。香りのピメンタなど野菜がたくさん入っており、アマゾン日系風でヘルシー。煮つけは、生姜の香りが利いていて、純和風。しかし、刺身はわさびの代わりにピメンタ入り醤油をつけて食べる。
 初めは躊躇ったが、次回どこかで刺身が出てきたとき「ピメンタありますか」と聞いてしまいそうなほど私の口に合っていた。お吸い物は、シェロベルジを入れてアマゾン風となっている。
 このシェロベルジ!好き嫌いがあるだろうが、独特の香りがアマゾンを感じさせる。魚・肉・スープ・サラダなどすべてに入っている。アマゾン料理の味を身に付けようと思うが、このシェロベルジさえあれば、誤魔化せるのではないかと考えたほどだ。
 その考えはさておき、やはり真面目に取り組みたい。使っている材料は把握できたが、味が問題だ。今回、食事の準備に付き合うのは初めて。見ている限り、どうも調味は右手の指加減のようだ。
 「嫁や孫たちは、サジを使うがそれはどうもできん」と、つまんでいた塩を鍋に落した。味見はしない様子。内緒だが、味の素などの便利な調味料も使ってあった。指加減と秘密調味料とシェロベルジを駆使したアマゾン料理を深く知りたい。
   ◎   ◎
【職種】日本語教師
【年齢】28歳
【出身地】福岡県宗像市

 ◇JICA青年ボランティア リレーエッセイ◇
JICA連載(15)=松岡美幸=パラナ州パルマス日伯文化体育協会=「人の温かみを感じる町」
JICA連載(14)=相澤紀子=ブラジル日本語センター=「何を残して何を持ち帰るのか」
JICA連載(13)=東 万梨花=トメアス総合農業協同組合=ブラジル人から学んだ逞しくなる秘訣
JICA連載(12)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=「笑顔の高校生達」
JICA連載(11)=原 規子=西部アマゾン日伯協会=元気な西部アマゾン日伯協会
JICA連載(10)=中江由美=ポルトヴェーリョ日系クラブ=「熱帯の中で暮らし始めて」
JICA連載(9)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=「日本」が仲立ちの出会い
JICA連載(8)=加藤紘子=クイアバ・バルゼアグランデ日伯文化協会=日本が学ぶべきこと
JICA連載(7)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=「気づかなかった素晴らしさ」
JICA連載(6)=清水祐子=パラナ老人福祉和順会=私の家族―39人の宝もの
JICA連載(5)=東 万梨花=ブラジル=トメアス総合農業共同組合=アマゾンの田舎
JICA連載(4)=相澤紀子=ブラジル=日本語センター=語り継がれる移民史を
JICA連載(3)=中村茂生=バストス日系文化体育協=よさこい節の聞こえる町で
JICA連載(2)=原規子=西部アマゾン日伯協会=「きっかけに出会えた」
JICA連載(1)=関根 亮=リオ州日伯文化体育連盟=「日本が失ってしまった何か」