ホーム | 連載 | 2006年 | JICAボランティア リレーエッセイ=最前線から | ■JICA青年ボランティア リレーエッセイ

■JICA青年ボランティア リレーエッセイ

■コロニア
ニュース

■ブラジル
国内ニュース

■コラム

■企画

■会社案内

■リンク集

■トップページ

=最前線から
■連載(58)=山本自子=ブラジル日本文化協会(図書館)=二カ月で染まったブラジル

2006年9月7日(木)

 ブラジルに来て二カ月が経った。すでにどっぷりとこの街サンパウロに染まった感がある。何故なら、違和感が無いからだと思う。
 北海道の広大な環境の中で生まれ育ったこと、生活基盤は札幌と言う大都市の街で営んできたこと、今回の使命であるボランティア活動が長年培ってきた司書としての仕事であることなどが共通しているからだろう。
 海外での生活は初めてだが、すぐに何事にも馴染む性格であり、怖さを感じない、気にしない、何とかなる、自分だけは大丈夫、と思い込む性格で何とかクリアしている。
 日常会話がポルトガル語ということで、少々不安な気持ちもあったが、有難いことに日本語で十分伝わる仕事場だった。
 すべてが自分に幸いしているこの状況を自分なりに分析してみると、来るべくしてこの国に来たのではないかとさえ思う。そのために少しでも経験を活かせるよう努力を惜しまないつもりである。
 今年三月まで大学の図書館で三十五年ほど働いてきた経験から見ると、利用者が学生から一般市民であること、専門書よりは文学書を中心に利用されていること、静粛を保つよりは和やかな日常会話が弾む雰囲気であることなどが、この文協図書館の特徴といえる。常連が多く、のんびりした家族的な温かささえ感じる。
 八十歳ちかい方が文庫本を何冊も借りて行かれるのを見ると「小さい活字本なのに大丈夫なのかな」とか、「とても古い本なのに役に立つのかな」などと心配せずにはいられない日々に、やはりサンパウロに、いやこの図書館にも染まってしまったと思うのである。
 そして、日本から来たばかりの私に、なつかしさで声をかけてくださる方が多く、誰もが日本と言う国を愛しているように感じられとても心地よい。
 「ブラジルの感想は?」と何度か問われ、「気に入っています」と答えると、誰もが微笑み「そうでしょう。ブラジルはとても住みよいところなのよ」の言葉が返ってくる。
 日系社会のことはほとんど知識が無いままに来てしまったが、先入観を持たないまま、これからの二年間ブラジルだけでなく「日本を外から見る」ことに観点を置き、両国の良さや文化の違いを感じ取れれば、と思う。
 そして、ブラジルをもっと理解するためにも三世、四世の方と、片言ででも会話ができるようポルトガル語の勉強を続けていかなければとも思っている。
   ◎   ◎    【職種】司書
【出身地】北海道札幌市 【年齢】60歳
 ◇JICA青年ボランティア リレーエッセイ◇
連載(58)=山本自子=ブラジル日本文化協会(図書館)=二カ月で染まったブラジル
連載(57)=石塚弥依子=インダイアツーバ日伯文化体育協会=次の世代へ伝えていくもの

連載(56)=小笠原公衛=ブラジル日本移民史料館=変わったもの、変わらないもの
連載(55)=沢田直子=ドミニカ日系人協会(ドミニカ共和国)=移住50周年を迎えて

連載(54)=相澤紀子=ブラジル日本語センター=ブラジル再発見の旅
連載(53)=竹村雅義=南マットグロッソ州日伯文化連合会=オーパ!ブラジルの中のニッポン
連載(52)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=積み重ねられる歴史
連載(51)=豊倉麗子=アマンバイ日本人会(パラグアイ)=移住の歴史を後世に
連載(50)=大畑りつ子=コロンビア日系人協会(カリ)=一世から学んだ元気の秘訣
連載(49)=平安寺映美=エンカルナシオン日本人会=二つの言葉の間で
連載(48)=宇野麻美=ヴィトリア日系協会=「当たり」だった出会い
連載(47)=沢田直子=ドミニカ日系人協会(ドミニカ共和国)=カリブ海の日本語学校
連載(46)=岡本真樹=トカンチンス日伯文化協会(トカンチンス州)=トカンチンスのスター?!
連載(45)=名村優子=エステ日本人会(パラグアイ)=国境の町の学校
連載(44)=中江由美=ポルトベーリョ日系クラブ=みんなで楽しむ運動会
連載(43)=大畑りつ子=コロンビア日系人協会=コロンビアからコモ・エスタ?
連載(42)=加藤志保=ピエダーデ文化体育協会=「何とかなる」の精神
連載(41)=原規子=西部アマゾン日伯協会=浅黒い肌にしなる腰
連載(40)=東万梨花=トメアス総合農業協同組合=アマゾン加工食品の妙
連載(39)=加藤みえ=ボツカツ日本文化協会=ボツカツはははの一週間
連載(38)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=「祖国」について思うこと
連載(37)=原田陽子=ピラール・ド・スール文化体育協会=「悔しい」気持ち
連載(36)=後田聡子=レシフェ日本文化協会 =いつかペルナンブカーナに
連載(35)=池田玲香=マリアルバ文化体育協会=子供と正直に向き合って
連載(34)=加藤志保=ピエダーデ文化体育協会=ブラジル―日本間で
連載(33)=今井さや香=コロニア・ピニヤール文化体育協会=村人の優しさに感動
連載(32)=中江由美=ポルトベーリョ日系クラブ=ブラジルのお盆
連載(31)=宇都宮祐子=Escola Professora Josephina de Mello(マナウス)=ひらがなや漢字を描く?
連載(30)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=コロニアで聞く戦争体験
連載(29)=相澤紀子=ブラジル日本語センター=「サンタクルス病院にて」
連載(28)=辻 伸二=セルジッペ州日伯文化協会=歌と歩んだアラカジュの2年間
連載(27)=原規子=西部アマゾン日伯協会=「アマゾンに暮らす」
連載(26)=東万梨花=トメアス総合農業協同組合=パラエンセのスピリット
連載(25)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=書道に日本語は必要?
連載(24)=原田陽子=ピラール・ド・スール文化体育協会=日本の反対側の日本
連載(23)=今井さや香=コロニアピニャール文化体育協会=「ブラジルの空の下で」
連載(22)=池田玲香=マリアルバ文化体育協会=気づいた「日本人らしさ」
連載(21)=山崎由加里=特別養護老人施設あけぼのホーム=〃家族とのつながり〃
連載(20)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=百周年に移民展を
JICA連載(19)=加藤みえ=ボツカツ日本文化協会=ボツカツから笑顔の風
JICA連載(18)=中江由美=ポルトベーリョ日系クラブ=「時の流れもお国柄」
JICA連載(17)=加藤紘子=クイアバ・バルゼアグランデ日伯文化協会=パンタナールに漂う空間に出会って
JICA連載(16)=宇都宮祐子=Escola Professora Josephina de Mello(マナウス)=料理アマゾナス風
JICA連載(15)=松岡美幸=パラナ州パルマス日伯文化体育協会=「人の温かみを感じる町」
JICA連載(14)=相澤紀子=ブラジル日本語センター=「何を残して何を持ち帰るのか」
JICA連載(13)=東 万梨花=トメアス総合農業協同組合=ブラジル人から学んだ逞しくなる秘訣
JICA連載(12)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=「笑顔の高校生達」
JICA連載(11)=原 規子=西部アマゾン日伯協会=元気な西部アマゾン日伯協会
JICA連載(10)=中江由美=ポルトヴェーリョ日系クラブ=「熱帯の中で暮らし始めて」
JICA連載(9)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=「日本」が仲立ちの出会い
JICA連載(8)=加藤紘子=クイアバ・バルゼアグランデ日伯文化協会=日本が学ぶべきこと
JICA連載(7)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=「気づかなかった素晴らしさ」
JICA連載(6)=清水祐子=パラナ老人福祉和順会=私の家族―39人の宝もの
JICA連載(5)=東 万梨花=ブラジル=トメアス総合農業共同組合=アマゾンの田舎
JICA連載(4)=相澤紀子=ブラジル=日本語センター=語り継がれる移民史を
JICA連載(3)=中村茂生=バストス日系文化体育協=よさこい節の聞こえる町で
JICA連載(2)=原規子=西部アマゾン日伯協会=「きっかけに出会えた」
JICA連載(1)=関根 亮=リオ州日伯文化体育連盟=「日本が失ってしまった何か」
Copyright 2005Nikkey Shimbun (Jornal do Nikkey)