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JICA青年ボランティア リレーエッセイ=最前線から =連載(41)=原規子=西部アマゾン日伯協会=浅黒い肌にしなる腰

2006年5月11日(木)

 マナウスにはありとあらゆる音楽を楽しめる場所がたくさんある。DJで音楽をかけているところ以外は、ほとんどオープンエアで生のバンド演奏である。 今では建物の中で踊るのもDJで踊るのも嫌になったほど。汗をしこたまかきながら踊る気持ちよさを一年中楽しめるのがマナウスだ。その中でも今回はフォホーについて書きたいと思う。
 フォホーというのは、ブラジル全土にある軽快な二分の四拍子の音楽・ダンスだ。二十世紀の初めにノルデステの鉄道建設のために来ていたイギリス技師たちが、建設に従事する労働者たちのために行っていた週末パーティー〝FOR ALL〟が訛って「フォホーFORRO」となったと伝えられているようだ。
 北部では田舎に行けば行くほど、フォホ―しかないんじゃないだろうかと思うくらいだが、どうも南の方のものと、ここマナウスのものとは大きな違いがあるようだ。
 実際私もフロリアノーポリスでフォホーを踊るところに行ってみた。するとその健全な踊り方にひどく驚いた。まるで運動会のフォークダンスのようなのだ。
 私の中のフォホーというのは、ステージのバンドの人たちと一緒に踊るお尻も露わなセクシーなダンサリーナちゃんと、スケスケの網状の服を着たダンサリーノくんたち、そしてフロアで激しい波のように腰を動かすマナウアラ(マナウスの女性)たちである。
 ご存知のようにフォホーは男女ペアで踊るもの。マナウスっ子の手にかかれば、それはそれはとても卑猥なくらいやらしい男女のダンスとなることもある。 もちろん中には下手な人もいるのだが、私はマナウアラたちが悩ましい腰つきで踊る姿が大好きだ。サンバに見られるそれとはまた別ものだと思う。上手なペアの人を見て学び、まねしようとするのだがあの腰つきだけはどうもDNAに組み込まれてないようで同じようにはいかない。
 そして悲しいことに日本人のお尻はぺったんこなのだ。ブラジル人は男女ともにすてきなお尻の持ち主であるがために、こういった腰を使ったダンスがさまになるのだろう。
 フォホーははっきりと好き嫌いが分かれる。私の周りに好きという人はほとんどいない。好きだというと白い眼で見られることの方が多いのだ。おそらくダンスの密着度が高い、音楽がダサイ、教養度・所得が低そうな人が多い、場所が危ないというような理由からだ。
 そしてそこには自分たちがフォホを踊りこなせない、という嫉妬も加わっているのではないだろうか。 フォホーが好きというと誤解や偏見を招きやすいが、それでも私は「好き」と言いたい。
  ◎   ◎
【職種】日本語教師
【出身地】岡山県苫田郡
【年齢】27歳

 ◇JICA青年ボランティア リレーエッセイ◇
連載(40)=東万梨花=トメアス総合農業協同組合=アマゾン加工食品の妙
連載(39)=加藤みえ=ボツカツ日本文化協会=ボツカツはははの一週間
連載(38)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=「祖国」について思うこと
連載(37)=原田陽子=ピラール・ド・スール文化体育協会=「悔しい」気持ち
連載(36)=後田聡子=レシフェ日本文化協会 =いつかペルナンブカーナに
連載(35)=池田玲香=マリアルバ文化体育協会=子供と正直に向き合って
連載(34)=加藤志保=ピエダーデ文化体育協会=ブラジル―日本間で
連載(33)=今井さや香=コロニア・ピニヤール文化体育協会=村人の優しさに感動
連載(32)=中江由美=ポルトベーリョ日系クラブ=ブラジルのお盆
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連載(30)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=コロニアで聞く戦争体験
連載(29)=相澤紀子=ブラジル日本語センター=「サンタクルス病院にて」
連載(28)=辻 伸二=セルジッペ州日伯文化協会=歌と歩んだアラカジュの2年間
連載(27)=原規子=西部アマゾン日伯協会=「アマゾンに暮らす」
連載(26)=東万梨花=トメアス総合農業協同組合=パラエンセのスピリット
連載(25)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=書道に日本語は必要?
連載(24)=原田陽子=ピラール・ド・スール文化体育協会=日本の反対側の日本
連載(23)=今井さや香=コロニアピニャール文化体育協会=「ブラジルの空の下で」
連載(22)=池田玲香=マリアルバ文化体育協会=気づいた「日本人らしさ」
連載(21)=山崎由加里=特別養護老人施設あけぼのホーム=〃家族とのつながり〃
連載(20)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=百周年に移民展を
JICA連載(19)=加藤みえ=ボツカツ日本文化協会=ボツカツから笑顔の風
JICA連載(18)=中江由美=ポルトベーリョ日系クラブ=「時の流れもお国柄」
JICA連載(17)=加藤紘子=クイアバ・バルゼアグランデ日伯文化協会=パンタナールに漂う空間に出会って
JICA連載(16)=宇都宮祐子=Escola Professora Josephina de Mello(マナウス)=料理アマゾナス風
JICA連載(15)=松岡美幸=パラナ州パルマス日伯文化体育協会=「人の温かみを感じる町」
JICA連載(14)=相澤紀子=ブラジル日本語センター=「何を残して何を持ち帰るのか」
JICA連載(13)=東 万梨花=トメアス総合農業協同組合=ブラジル人から学んだ逞しくなる秘訣
JICA連載(12)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=「笑顔の高校生達」
JICA連載(11)=原 規子=西部アマゾン日伯協会=元気な西部アマゾン日伯協会
JICA連載(10)=中江由美=ポルトヴェーリョ日系クラブ=「熱帯の中で暮らし始めて」
JICA連載(9)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=「日本」が仲立ちの出会い
JICA連載(8)=加藤紘子=クイアバ・バルゼアグランデ日伯文化協会=日本が学ぶべきこと
JICA連載(7)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=「気づかなかった素晴らしさ」
JICA連載(6)=清水祐子=パラナ老人福祉和順会=私の家族―39人の宝もの
JICA連載(5)=東 万梨花=ブラジル=トメアス総合農業共同組合=アマゾンの田舎
JICA連載(4)=相澤紀子=ブラジル=日本語センター=語り継がれる移民史を
JICA連載(3)=中村茂生=バストス日系文化体育協=よさこい節の聞こえる町で
JICA連載(2)=原規子=西部アマゾン日伯協会=「きっかけに出会えた」
JICA連載(1)=関根 亮=リオ州日伯文化体育連盟=「日本が失ってしまった何か」